「今もペンを持ったおまわりさんだらけ」 袴田さん冤罪に加担したマスコミ…でも変わらない事件報道
●「記者個人の行動が問われている」
ではどうすればよいのか。 「まずは、現場の記者たちが『そんな取材はやりません』というしかありません。その代わり、仕事はサボらずに一生懸命する。社会で何が必要とされているかを吟味し、それぞれのテーマを取材していく。それで左遷されたら? 死ぬわけじゃないし、そんなことを考えていたら何もできません。実際、冤罪に手を貸した形になっている記者の中には『当時はそれが普通だった』『会社組織だし、上司がやれと言った取材をやるしかなかった』などと言って、それっきりというケースも少なくありません。組織の論理の中に逃げ込んでしまうわけです。それが一番たちが悪い。 もちろん、組織ですから上が変わらないと、組織は変わらない。しかし、上層部のせいにして、組織の中に潜り込んでいくのは、実にかっこ悪い。何をどう取材するかの一義的な判断は、現場記者にあるはずです。取材が公共的な仕事である以上、なおさら、個人としての行動も問われると思います」