追悼、そして感謝。屋久島沖に墜落、全搭乗員8人が死亡…米オスプレイ事故から1年、現地で慰霊式
鹿児島県・屋久島沖で米軍輸送機CV22オスプレイが墜落し全搭乗員8人が死亡した事故から1年となった29日、米空軍が犠牲者を追悼する慰霊式を屋久島町役場で開いた。捜索・回収に協力した屋久島町民には謝意を示した。遺族や米軍、防衛省関係者のほか、町職員や漁師ら80人が参列。墜落現場近くの海岸に建てた石碑も公開され、遺族が弔問した。 【写真】記者の質問に答える米空軍のリチャード・シーザー大尉(左)=29日午後3時40分ごろ、屋久島町役場
式典は「遺族の意向を尊重した」として非公開。米軍によると、軍と防衛省の代表が追悼の言葉を述べ、事故が起きた午後2時40分に黙とうした。遺族と米兵有志は現場近くの田代海岸を訪問。亡くなった搭乗員全員の名前や肖像が刻まれた石碑に花を手向けた。 式後、取材に応じた米空軍のリチャード・シーザー大尉(39)は「町民の協力に改めて感謝する。石碑が両国の癒やしの場所になることを願う」と話した。飛行再開後もトラブルが相次ぐオスプレイの安全性については「訓練や情報収集を通じて確保する」と述べた。 地元からは安全性への不安や日米両当局の説明不足を指摘する声が上がった。 荒木耕治町長は「近くを飛んでほしくないという思いが一番。安全性への懸念は拭えず、今後も米軍と防衛省に情報公開を求める」。捜索・回収の初動を担った屋久島漁協の羽生隆行組合長(73)は「安全対策の説明が足りない。県内で相次ぐ緊急着陸を見ると、また事故が起きるのではと思ってしまう」と語った。
南日本新聞 | 鹿児島