「子ども用自転車のサドルの匂いをかいで…行為しようと…」窃盗などの罪に問われた男(22)が裁判で語ったこと 過去には白昼の小学校へ侵入し…【前編】
◇◇いじめ受け「ほぼ不登校に」
証人として、Y男被告の父親が出廷した。弁護士と検察官からの問い掛けに回答していく。 「(Y男被告は)中学校では、暴力をともなう結構ないじめを受けていた」 「3年生になるころには、ほぼ不登校となっていた」 いじめを受けたことで、社会との関りが希薄になっていったというY男被告だったが、専門学校では才能を見せるようになり、ゲーム関連のプログラミングを学ぶようになる。『録音した親の声を使って、歌を歌わせること』もできたという。
◇◇再犯防止 寝食共にして監視続ける
2年前にさかのぼる。水着を盗む目的で、白昼の小学校に侵入する事件を起こしたY男被告。 当時行われた裁判でも、同様に証人として出廷した父親は、再犯防止に向けてY男被告の監督を約束。実際に、その後は妻と2人で寝食を共にしながら見守り、監視を続けてきたという。再び行われた今回の犯行は、その間隙を突くものだった。 また、保護観察付きの有罪判決を受けて以降、保護司との面談を欠かすことは無かったというY男被告。しかし、その関係は良好では無かった。 「上から目線で『仕事をさっさと探せ』とかなり強い口調で言われたようだ」 Y男被告の父親は、検察官と弁護士からの質問に答える形で、当時の様子を振り返り証言する。
◇◇「死にたい」生じ始めた保護司との不和
「保護司から『両親に迷惑を掛けている』と勝手に言われた。また『引っ越したのはお前のせいだ』とも言われたようだ。(面談後)Y男被告は泣いていた」 「それについて後日、保護司を問いただすと『そんなこと言いましたっけ?』『自分は言っていない』と返答された」 Y男被告は、保護司との一連のやり取りを経て「ひどく落ち込み」、両親に対して「死にたいと」話すようになったという。
◇◇「信頼を大きく損なう」出来事が
――Y男被告の精神が不安的になったのは、保護司のせいだと思う? 「うーん…まぁ思っていた」 「とにかく『早く就職するように』と叱咤されていた」 「就職を急かされて、(Y男被告に)逃げ場が無いと思った」 「自分からも『ちょっと言わないでくれ』と、強い口調でお願いしに行った」 「しかし1対1だと態度が変わるようだった」 ――保護司に対して、強い口調でお願いしに行くことなど、保護司への尊敬の念が薄れることになるとは感じなかった? 「思ったが、今まで閉じこもっていた人間が大きな世界にいきなり放り出されるというのは大変なことだと思うので。子どもが優先になってしまいますね、僕からしたら」 「家庭事情」を「無視」するかのように、就職を促す保護司に対して、徐々に不信感を深めていったと明かす父親。その後に起こった『ある出来事』を契機に、保護司への信頼を大きく失ったと話した。