津之輝の収穫期到来 高糖度、高品質な仕上がり 奄美大島
年内に収穫・出荷できるかんきつ類の新品種として鹿児島県の奄美大島で導入が進む「津之輝(つのかがやき)」の収穫が本格化している。今期は例年と比べて糖度が高く、果皮障害の少ない高品質な果実に仕上がっており、関係者の期待は大きい。収穫は今月20日ごろまでを見込む。 JAあまみ大島事業本部生産部会連絡協議会果樹専門部会が10月20日前後に実施した津之輝の品質分析によると、糖度は前年比1・7度高の11・4度、酸度は同0・02ポイント減の1・3%。糖度が高く、成熟が進んでいたことから、例年より約1週間早い11月下旬から収穫を始めた地域もあった。 島内での栽培を技術面でリードする奄美市住用町の元井農園では、11月下旬の冷え込みで果皮の色付きが進んだこともあり、今月2日に収穫を開始した。園地内は早期の粗摘果や炭酸カルシウム資材の散布によって生理障害が軽減され、着果状態や色付きのよい果実が多く、近隣農家の協力を得て日中を通して収穫作業に励んでいた。 約1・3ヘクタールの園地で津之輝を栽培している元井農園では、島内で懸念されていた11月の長雨による腐敗果の影響はなく、今期は12~13トンの収穫を見込んでおり、園主の元井雄太郎さん(39)は「糖度が高く、程よい酸味もあってバランスのよい果実に仕上がった」と自信を見せる。個別販売の注文を受け付けており、家族で経営する国道沿いの店舗では7日から販売を予定している。 奄美市名瀬の奄美大島選果場は11月下旬から、今期の選果を開始した。今期の取り扱い計画は共販6トン、委託3トン。各農家では収穫後、果皮を乾燥させるため風通しの良い場所で4、5日貯蔵する予措(よそ)期間を設けることから、9日ごろの操業本格化を見込む。 選果場を運営するJAあまみ大島事業本部の果樹担当は「津之輝は各方面からの需要が高く、注文を断っている状況。先月の長雨による腐敗果発生で農家からの出荷量減少が心配だが、共販分を確保するため協力をいただきたい」と話した。選果場での選果・出荷作業は20日ごろまで予定している。