ソフトバンク王会長「こんなことをしたくなかった」と猛反省
彼らが、間違いなくチームに刺激を与えた。オフの補強は大成功の予感である。しかし、このまま、評論家のV予想と共にペナントレースを突っ走っても、“金で優勝を買った”と批判を受けて、素直に喜べない。だから、王会長も、「こんなことはしたくなかった」と、開幕前に本音を漏らしたのだ。 ■大型補強の影に若手選手の成長 「うちは、育成の選手を23人も保有している。九州という地元に目を向けて、内側から選手を育てていきたい。今年は、甲斐拓也という育成出身の捕手が出てきた。彼も大分かな。小さいけど、肩も強いしパンチもあって非常に楽しみな選手。外から補強した戦力で優勝を狙いながら、こういう内側から、生え抜きの選手を育てていくのが理想なんだ。拓也にしろ、鶴岡の経験から学ぶものがあると思う。まだまだ物足りないけれど、柳田という可能性を秘めた選手もいる。2年目の東浜も力をつけてきた。そういう若い選手を育てながら、理想的なチーム編成にしていければいいと思う」 育成出身のキャッチャー、甲斐拓也は、初の開幕1軍切符をほぼ手中に収めたし、恐怖の7番打者として、4本塁打33打点のオープン戦2冠の柳田は、覚醒の予感を漂わせている。大補強の影に隠れながらも、生え抜きの確かな成長がある。 王会長は、2014年度の日本一奪回計画の向こう側に、さらなるチーム強化のビジョンを抱いているのだ。勝ちながら、育てることは、プロ野球において、永遠の命題とも言われるのだが、ソフトバンクは、優勝の後に何も残らない金満野球は考えていない。目指すは、未来につながるビジョンを抱えた最強野球。だからこそ、王会長が「こんなことはしたくなかった」と、開幕前に反省を口にしたのである。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)