「閉店」相次ぐ百貨店 生き残るカギは『脱百貨店』か...館内に図書館や水族館が!?新しいカタチが続々登場
かつては「小売りの王様」とも言われた百貨店。しかし今、ネット通販の広がりやコロナ禍などの影響によって全国で閉店が相次いでいます。そうした中、生き残りをかけて「変貌」を遂げる店舗も。百貨店の厳しい現状と新たな動きについて、百貨店の歴史に詳しい中部大学・末田智樹教授への取材などをもとにまとめました。 【写真で見る】一体どんなの?百貨店の中に入る図書館や水族館
地方の百貨店が『急減』しているワケ
2026年1月7日に閉店することが決まった高島屋堺店。1964年10月に南海堺東駅直結のビルで開業しました。しかし2020年度から4年連続で赤字が続き、黒字化のめどが立たなくなりました。 跡地には新たな商業施設「HiViE(ヒビエ)堺東」が誕生する予定(時期未定)です。 全国の百貨店数は、減少傾向にあります。日本百貨店協会の調べによりますと、2008年には280ありましたが、2024年には178にまで減っています。東京・大阪・神戸・名古屋など大都市圏は緩やかな減り方ですが、地方の百貨店では一気に減っているのが現状です。島根・山形・徳島・岐阜の4県は、県内に百貨店がない「百貨店空白県」となっています。 こうした現状について、中部大学の末田智樹教授は、2010年代から百貨店は厳しい状況に置かれているといいます。その背景には郊外型の大規模ショッピングセンターの増加やインターネットショッピングの台頭があるということです。 また、減り方に関して都市部と地方の差が大きい理由については、インバウンド客の獲得が関わっていると指摘します。都市部には多くのインバウンド客が訪れますが、地方にはあまり訪れません。実際に高島屋堺店も、閉店の理由として「インバウンドの恩恵が無かった」ことを挙げています。 ほかにはコロナ禍による苦境もありました。さらに、百貨店は高度経済成長期に建てられた店舗(建物)が多いため老朽化していて、建て替えなどのコストがかかることも閉店が相次ぐ理由の一つだということです。