パリ五輪には4人の教え子を送り出す! 2大会連続メダル期待の女子バスケ、多くの代表選手を育てた名伯楽の思い
指導者として一番うれしいことは選手の成長を感じたときだという。東京五輪に続いてのメダル獲得を狙うパリ五輪でも、4人の教え子が日本代表の主力として出場することは大きな喜びだ。 センターで長身の髙田、シューターとして期待のガード山本は今の日本代表に欠かせない存在だが、高校時代はどんな選手だったのだろう。 「髙田は入学したときはヘタクソで何もできなかった。ただ、サイズはあったし、中学まで空手をやっていたのでコンタクトには強く、化ける可能性は当時から感じていました。山本はお母さんも実業団でプレーした選手。小柄だけどセンスがあって1年生の頃からよくシュートを決めていました」 エブリンとステファニーも、それぞれタイプは異なるが、やはりチームに不可欠な選手だ。 「エブリンは小学5年生の頃には身長175㎝くらいあって、その頃から桜花の練習に来ていたので、付き合いは一番長いかもしれない。明るい性格で、誰からもかわいがられた選手。 (東京五輪後に)1年間休養したことは理解できなかったけど、よく復帰できたなと思っています(笑)。ステ(ファニー)はなんでもできるし、一番成長したかな」 今回、井上監督にとって残念だったのは、OGで長く日本の女子バスケを牽引してきた渡嘉敷来夢のメンバー落ちだった。 「193㎝の高さがあるのに、なぜ選ばれなかったのか。Wリーグで8度もシーズンMVPを取った選手。桜花の歴史の中でも髙田(3年)と渡嘉敷(1年)がいた07年度は、高校三冠を果たすなど最強だった。いくら3ポイント(シュートが大事)といっても、インサイドがあっての外だと思うんですけどね......」 22年から23年にかけて井上監督は肺がんを患い、チームを離れた時期もあった。ただ、無事に回復し、今は現場復帰している。昨年度は無冠に終わっただけに、目下の課題はタイトルの奪還と自身の後継者探しだという。 「できれば、後任は卒業生に託したい。でも、なかなか適任が見つからなくて......。あと3年で80歳。そこまでは頑張りたいと思っています」 取材・文・撮影/栗原正夫