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アイリスオーヤマのマスク、何がすごいのか?

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Wedge

 今年、アイリスオーヤマの国産マスクが上市されました。「ナノエアーマスク」です。夏を考慮した新しい不織布マスクです。日本は、必要マスクの生産のほとんどを中国をはじめとする海外に頼っていましたが、シャープ、アイリスオーヤマ、ユニチャームなどが、国内生産、増産を開始し始めました。今回はアイリスオーヤマに焦点を当ててレポートします。

アイリスオーヤマのマスクビジネス

 アイリスオーヤマが扱うモノは多岐に渡ります。最近は家電が有名ですが、業績が伸びたのはプラスチックの収納ボックスです。このため、ホームセンタールートに強く、グループ傘下に「ダイシン」などのホームセンターを持ちます。基本、アイリスオーヤマが扱うものは、ホームセンターで販売するものが中心と考えるとわかりやすいです。  2007年にマスク市場に参入したアイリスオーヤマは、中国に設けた自社工場で生産してきました。場所は、大連と蘇州の2カ所。中国生産は当然というと、当然。今のマスクの基本は、不織布マスクで使い捨て。衛生用品を使い捨てにするのは現代医療がそのような考え方だからです。高価な機器、器具は洗浄、滅菌して使うのですが、そうでないものは廃却、焼却。感染を断つための措置です。このため安く作らなければなりません。  しかし今、日本では、布マスクが流行っています。本来、感染病が流行している場合、不織布マスクの方がベターなのですが、今年の2月、中国で生産するマスクが輸入できなくなり、マスクの供給は需要に全く追いつけない事態になります。その時、政府肝入りで配布したのが布マスク。メリットは「洗えば、また使える」ということ。ですが、このマスク小さく、不良品さえ混入していた上に、配布が遅い。三重苦のマスクでしたので。このため「僕にもできる!」という感じで、自作されるようになります。  布マスク=手作り可能ということで、どっと衣類メーカーが参入。折しも、外出自粛ですから、衣料品のニーズは減。渡りに船とだったからです。しかし、それでも海外の有名ブランド、コロナ禍で倒産の憂き目にあったブルックス・ブラザース他、名だたる有名ブランドが作ったのにはびっくりしました。  これらの多くは、手縫いに近いものです。逆な言い方ですが、少量なので布マスクは急激に立ち上げることができたのです。中国での生産もそうですね。この2月に倍増し、36億枚/月になったのは、ほとんどが布マスクだからです。要するに人海戦術です。しかし、逆に多くの人が関与するので品質が安定しない。事実、品質未達ということで、中国政府が援助したマスクが多くの国から送り返されました。  同じ時に、日本政府は、補助金を出し、日本メーカーにマスク生産を募ります。が、緊急を要するとして「短期立ち上げ(約1カ月)」を条件とします。不織布マスクは、大量生産可能ですが、原材料の確実な確保が必要ですし、品質保証のためクリーンルームでの生産が必要です。言い換えると、工場の建屋が自在に使えるとして、改装にようるクリーンルームの設置、クリーンルームの中に生産設備の設置、材料の確保と立ち上げですから、通常は早くても3カ月かかります。  1カ月という短期で不織布マスクを立ち上げることができたのはシャープだけです。これはシャープが液晶パネルを国内で生産しており、その生産数量が減ったために、有休状態のクリーンルームがあったからです。またシャープの親会社、台湾のホンハイも自社の従業員で使うために昨年末よりマスク生産をはじめています。だからこそ、国内生産を2月に決めたシャープは3月に生産、出荷することができたわけです。  では、アイリスオーヤマの場合はどうでしょうか?  アイリスオーヤマは今回、マスクの国内生産に対し、約30億円もの投資を行いました。月産:1億5000万枚(2020年8月に達成見込み)を実現するためです。内容は、(1)関連建屋へのクリーンルームの導入、(2)マスクの自動生産ラインの設置と立ち上げ(40ライン分)、(3)必要材料(不織布他)の国内生産です。投資の理由は、政府に請われたこと、国民の役に立つためですが、その中には、しっかりとしたビジネス見通しがあるように思います。

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