等々力から始まる中村憲剛“2冠引退”の物語「天皇杯プレビュー」川崎―秋田
天皇杯 準決勝 川崎フロンターレ―ブラウブリッツ秋田 12月27日(日)|13:05 等々力競技場 ■【布陣図】川崎―秋田の予想スタメン■ 開催方式がイレギュラーとなった今年の天皇杯だが、この準決勝からJ1勢が登場する。2試合ある準決勝のうち、J1優勝の川崎とJ3優勝の秋田が戦うのがこの一戦だ。両チームともカテゴリーこそ違えど、それぞれのリーグを圧倒的な強さで優勝してみせたチームだ。 秋田は、開幕からの28試合を20勝8分と無敗で迎えるなど、歴史に残る優勝劇を見せた。得点数55こそリーグトップではなかったが、特筆すべきはその失点数。34試合戦ってわずか18失点という堅守を誇る。当然、リーグで断トツの数字だ。 天皇杯準々決勝では、福山シティFC(広島県代表)を3-1で粉砕。一時同点に追いつかれはしたものの、ユアスタで自分たちのサッカーを披露した。 そんな秋田にとって、J1トップと戦う機会はとてつもなく貴重なものになる。来季からJ2に挑戦するうえで、さらにその上のカテゴリーの強豪と戦うことで得られる経験は計り知れない。J1のチームが次々となぎ倒されていった川崎を相手に、勝利を狙ってピッチに立つのみだ。
一方の川崎は、記録を塗り替えながら勝ち続けてきたが、ルヴァンカップでは準決勝で敗退してしまったことで3冠の夢が潰えている。そのため、現在でも可能な2冠に対して、チーム全体が飢えている状況といえる。 今季での引退を表明しているチームのバンディエラ・中村憲剛にとって、天皇杯が最後の戦いになる。J1第33節のリーグにおける等々力最終戦で先発したものの、第34節は欠場しているだけに、この「真の等々力最終戦」にはきっと出てくるだろう。 また、気になるのがDF登里享平の代役だ。今季、初めてベストイレブンに選出された登里だが、第34節・柏戦で左鎖骨骨折というケガを負ってしまった。回復には2か月半を要するため、欠場は確実。今季のリーグ戦で、登里とともに左サイドバックを務めてきた車屋紳太郎も11月25日に負傷し、全治3~4週間を要する見込みと発表されていた。そのため、この試合でも車屋の出場は微妙な状況だ。その場合、リーグ最終戦でそうだったように、本来は前線の選手である旗手怜央が左サイドバックに入ることになるだろう。 歴史的な1年の締めくくり、そして、中村憲剛の引退に華を添えるために、川崎はジャイアントキリングを許すつもりはない。
サッカー批評編集部