昌平、神村学園、帝京長岡…波乱続出。高校サッカー有数の強豪校は、なぜ選手権に辿り着けなかったのか?
高校生年代最高峰の24チームがEAST・WESTに分かれてリーグ戦を行うプレミアリーグを頂点として、その下のプリンスリーグ、都道府県リーグと、サッカーのU-18年代はそれぞれのレベルにあったリーグ戦の構築がうまく整備されてきている。そんななか、今年度の高校サッカー選手権において、プレミアリーグに所属する強豪校の都道府県予選での敗退が相次いだ。12月28日の選手権開幕を目前に控えた今、その背景として考えられる要因を改めて分析する。 (文=松尾祐希、写真=YUTAKA/アフロスポーツ)
例年以上に強豪校にとって厳しい結果となった都道府県予選
1993年にJリーグが開幕してから31年。リーグ戦文化が定着し、一年を通じて戦う流れが出来上がった。高校サッカーにもその流れは波及し、2011年に高円宮杯U-18サッカーリーグ「プレミアリーグ」が創設。高体連の強豪校、Jクラブのユース、街クラブが切磋琢磨しながら技を磨いてきた。その一方で高校サッカー選手権は今もなお盛り上がりを見せており、年末年始の風物詩として多くのファンに認知をされている。 今年も47都道府県(東京のみ2枠)の代表が揃い、11月の半ばには組み合わせ抽選会が行われた。Aブロックに青森山田(青森)、尚志(福島)、静岡学園(静岡)、東福岡(福岡)とプレミアリーグ勢が組み込まれる死の組が形成されるなど、どのチームが日本一を取るか注目は尽きない。その一方で惜しくも都道府県予選で涙をのんだ有力チームもある。 特に今年度は波乱が多く、驚くような敗戦も少なくなかった。夏のインターハイで全国4強に入ったチームのうち3チームが出場しないケースは近年あまり記憶にない。創部初の日本一を獲得した昌平(埼玉/プレミアリーグEAST)は県予選の準々決勝で聖望学園に3-4で敗戦。県リーグ1部を制した難敵に対し、セットプレーから失点を重ねて一時は2点差をつけられたのは驚きが大きかった。 インターハイ準優勝の神村学園(鹿児島/プレミアリーグWEST)は長年県下でしのぎを削ってきた同じくプレミアリーグWESTの鹿児島城西に決勝で敗北。圧倒的に攻め込みながら最終盤にカウンターから失点を喫し、0-1で敗れて2017年の夏以降続いていた全国大会出場を逃す結果となった。 インターハイ・ベスト4の帝京長岡(新潟/プレミアリーグWEST)は県予選準決勝で姿を消しており、プリンスリーグ北信越1部で2位に入った新潟明訓に0-1での惜敗だった。 そのほかの有力校では全国常連の立正大淞南(島根/プリンスリーグ中国)も県予選準決勝で敗れ、インターハイ全国ベスト8、プリンスリーグ九州2部優勝の国見(長崎)も県予選準々決勝で県リーグ1部の鎮西学院に苦渋を舐めている。神奈川でもインターハイ全国ベスト8の桐光学園(プリンスリーグ関東2部)やU-19日本代表のMF布施克真を擁する日大藤沢(神奈川県リーグ1部)が出場権を逃し、石川でも全国制覇経験がある星稜(プリンスリーグ北信越1部)が県予選の準決勝で敗退。昨年の選手権で初のファイナリストになった近江(滋賀/プリンスリーグ関西1部)も予選決勝で敗れている。流通経済大柏(プレミアリーグEAST)が制した千葉は昨年度の選手権4強の市立船橋(プレミアリーグEAST)が準決勝で日体大柏の軍門に下っており、例年以上に強豪校が厳しい現実を突きつけられた。