【毎日書評】戦略より「人を活かすこと」がいまのマネジメントにもっとも必要な理由
人の本質を知る
人が主人公である社会や企業を導いていくためには、人と真剣に向き合い、「人とはどういうものなのか」、すなわち“人の本質”を知ることが大切。それを深く受け入れてこそ、人を動かすことができるわけです。 また、仕事に関していうと、重要なのは人の育て方。なぜなら人は育て方次第で、能力や人格などの形成に大きく差をつけることができるからです。そればかりか、無限の可能性を引き出すことも不可能ではないのです。 とはいえ、人を育てるのも人。そして人は一生をかけて成長し続けるものであり、最初から完璧な人など存在しません。だからこそ人は、完全でない部分を補い合って、助け合い、育ち合うべきだということです。(40ページより)
人を生かす経営の基本スタンス
どんなことも原理原則から外れてはいけませんが、もちろん企業経営も同様です。 企業経営の原理原則は、「ずっと変えずに守っていくこと」「状況に応じて変えてもよいこと」の2つがあります。木にたとえると、前者は根っこや幹で、後者は枝葉に相当します。 変えてはいけないのは経営理念、人が育つ環境づくり、変えてもよいのは戦略や戦術です。 経営理念の確立とその浸透が50%、人が育ち個性を生かせる環境づくりが30%、つまり、人(従業員)を生かし治めるために行うのが経営全体の80%を占めるというわけです。戦略や戦術は、たとえば昨今であればコロナ禍にみまわれるなど、その時々に応じて策を練る必要があり、これらは経営全体の20%程度とみます。(47~48ページより) 最近は、とくにITの分野などにおいて、戦略や戦術を優先する企業が多いように感じられると著者は指摘しています。人を生かすというよりは、資源を生かすことに意識が向いているわけです。 しかし時代がどのように変化していこうと、人が生きる社会においては、やはり人が主人公。そのため、経営も人を見つめて行う必要があるのです。 人を生かす経営の根幹となる経営理念の確立・浸透を実現するためには、すべての従業員と共感でつながってひとつとなり、信頼関係を築くことが必要。それこそが、ひとりひとりの力を生かしていくために欠かせないことであるわけです。(47ページより) 先述したように、すべてのリーダーにとって有効な一冊。中小企業経営者はもちろんのこと、なんらかの形で人を動かす立場にある方は、ぜひとも本書を参考にしたいところです。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: PHP研究所
印南敦史