ドラマチックな展開に息を呑む…。『相棒 season23』第6話、素晴らしかった2つのポイントとは? 徹底考察レビュー
「人生、生きてる限り勉強」
2つ目の見どころは、泉川慎平(西銘駿)と矢野拓海(柾木玲弥)の関係性だ。 泉川も矢野も家庭環境に苦労し大学進学を諦めざるを得ない境遇であった。 しかし泉川は新聞配達で費用を貯めながら大学進学を目指し、矢野は荒んだ生活を送り強盗計画に協力する予定と全く違う道を2人は進んでいた。 そんな中、泉川は試験前日に高熱を出し仕事中に倒れ、矢野は偶然彼を救った事で運命の歯車が狂い出す。 泉川の熱意と想いを知った矢野は翌日の強盗計画をキャンセルし、泉川の替え玉として試験を受け、見事に合格したのである。 その後、泉川は教師の道を進み、矢野はイチから勉強をし直して司法書士になるまでに至った。 しかし泉川は名前も知らない矢野に対して感謝があると共に心のどこかに罪悪感を持ち、矢野も矢野で強盗事件こそ断ったものの悪縁を切れず脱税に関与してしまった。 そしてそんな2人が幸田の殺人現場で再会してしまうというのは非常にドラマチックである。 そこで泉川は、矢野が殺人犯だと思うも恩に報いる為に庇い、矢野もまた人生を変えるキッカケを作ってくれた泉川へ恩を感じており、替え玉受験については黙秘する。人情を感じられて非常に熱い。 ただ最終的には特命係が全てを明らかにした事で、泉川は生徒に全てを打ち明け職を辞し、矢野は脱税で逮捕される。 相手の為になると思った善意の罪でも、そのツケを10年まとめて払う結果となったわけだが、救いもある。泉川はやり直しを誓い、矢野も完全に悪縁を断った。何より2人にはヒロコママなど、支えとなる人もいる。人の為に行動できる2人なので、再起の時は必ずくるであろう。 ヒロコママの言う通り「人生、生きてる限り勉強」である。 (文・Naoki)
Naoki