「ノーベル賞の時より感慨深い」田中耕一さん喜び 島津製作所の質量分析計が「歴史的偉業」に認定
島津製作所(京都市中京区)が1988年に発売した質量分析計が、世界最大の工学専門学会、電気電子技術者協会(IEEE)の「マイルストーン」に認定された。開発者の1人でノーベル化学賞受賞者の田中耕一エグゼクティブ・リサーチフェロー(65)が11月、同社で記者会見し、「ノーベル賞の時より感慨深い」と喜びを語った。 電気や情報分野での歴史的偉業に贈られる賞で、誕生から25年以上たつ製品や技術が対象。田中さんは2002年のノーベル賞受賞を振り返り、「あまりに突然だったので何を成したのかよく分からなかった」と述べた。母校の東北大で電気工学を専攻していたことにも触れ、「大学に恩返しができた」と破顔した。 認定を受けた製品は田中さんら5人のチームで開発し、米医療研究機関が1台購入した。当時は日本企業の技術や製品が海外勢を凌駕(りょうが)し、「国内で統合的な研究開発が可能だった」と指摘。かつてと様変わりした研究開発環境にも言及し、「(激しい国際競争を経て)日本は多少自信を失っているかもれしれないが、国内で完結できなくても世界とつながればいい」と企業研究者らにエールを送った。