いよいよ開業1年前!「北陸新幹線」新型車両・E7系の車内を大解剖
E7系の気になる車内は?
「大人の琴線に触れる『洗練さ』と心と体の『ゆとり・開放感』」がデザインキーワードとなっているE7系。その車内は、一言でいうと「いいトコどり」です。JR東日本とJR西日本、両社がこの数十年で培ってきた技術や空間デザインをうまく組み合わせ、より快適な車両が出来上がったという印象を受けました。 たとえば、普通車の座席はJR東日本のE5系「はやぶさ」などと同様に枕部分が可動式となっていますが、これは東海道・山陽新幹線では見られない「いいトコ」です。格子模様が入ったえんじ色のシートは、少しシックな大人の雰囲気を演出。新幹線としては初めて、普通車も全席に電源コンセントが設置されたのもうれしいところです。対して、グリーン車の座席はJR西日本のN700系「みずほ・さくら」車両に近く、ヘッドレストや電動レッグレストなど、山陽新幹線の「いいトコ」が取り入れられています。こちらは普通車と一変して藍色が基調。両車とも、シートの掴み手部分には座席番号が点字表記されていて、目の不自由な方への配慮がなされています。 そして、注目はE5系に続いての設定となるグランクラス。デッキには桜や満月、雷鳥など日本と北陸の四季を表現した飾り柱がしつらえられています。その横を抜けて扉を開けると、そこは応接室とも呼ぶべき豪華な作り。シートの基本構成はE5系と変わりませんが、大型テーブルの収納方法が改良されるなど、より進化を遂げています。本革をふんだんに使ったシートをリクライニングさせ、サービスされる軽食をつまみながらワインを傾ける・・・金沢までの2時間半は、あっという間に過ぎることでしょう。
すごいのは、座席だけじゃない!
E7系の快適さを支えているのは座席だけではありません。車両の揺れを低減させるため、2種類のアクティブサスペンションが装備されており、新幹線がすれ違う際の振動も従来車両に比べ格段に少なくなっています。また、洋式便所にはウォシュレットが完備されているほか、ハンドル型車いすでも利用できる多目的トイレも設置。おむつ替え台や着替え用ステップもあって便利です。各デッキには防犯用カメラがあり、緊急時に備えてAED(自動体外式除細動器)や簡易的な医療用具も搭載されているなど、安全・安心して利用できるようになっています。 見えないところでの工夫も随所に。日本で供給されている電気は、東日本は交流50Hz、西日本は交流60Hzとなっています。自宅の冷蔵庫や洗濯機に「50Hz用」「60Hz用」という表記を見たことがある方も多いのでは?鉄道車両でも、その走行するエリアに合わせて50Hz用・60Hz用と作り分けられることが多いのですが、北陸新幹線はこの2種類の電源区間を何度か行き来するため、E7系はどちらの電源でもその性能を十分に発揮できるように設計されているのです。ちなみに電源の切り替えは自動で行われており、乗客には全くわかりません。