Eー1、Uー22代表発表も明確メッセージの見えない顔ぶれ…東京五輪強化はこれで大丈夫なのか?
今月10日から韓国・釜山で開幕するEAFF E-1サッカー選手権2019に臨むフル代表22人、同28日のU-22ジャマイカ代表とのキリンチャレンジカップ2019(トランスコスモススタジアム長崎)に臨むU-22日本代表19人が4日、日本サッカー協会(JFA)から発表された。 東アジアの覇権をかけて原則2年おきに行われるE-1選手権は、前身の東アジア選手権時代から国際Aマッチデー以外で開催されてきた。今回も例外ではなく、ゆえに今年6月のコパ・アメリカ2019と同様に、JFAは海外クラブに所属する選手たちに対する拘束力をもたない。 さらに国内組においても最終節を残すJ1の結果次第で16位になり、14日のJ1参入プレーオフ決定戦に回る可能性を残す名古屋グランパス、浦和レッズ、サガン鳥栖、清水エスパルス、湘南ベルマーレの5チームに所属する選手たちは現時点で招集されていない。7日の最終節後に1人が追加され、最終的には23人で10日に中国、14日に香港、18日には韓国各代表と戦う。 さまざまな制約が設けられたなかで、森保一監督は東京五輪世代となる22歳以下の若手12人をE-1選手権に招集した。そのうち9人が初めてフル代表に名前を連ね、残る3人も東京五輪世代が中心だったコパ・アメリカ以来の招集となったフレッシュな顔ぶれへ、東京・文京区のJFAハウスで記者会見に臨んだ森保監督は「今回の経験をもって、さらに成長してほしい」とメッセージを送った。 「彼らは東京五輪を経由してのカタールワールドカップや、その後の日本代表の戦力となる可能性をもっている。厳しい戦いが待つ今回のE-1選手権で経験値を上げて、個のレベルをも上げていってもらうことが、さまざまな選択肢をもって戦える日本代表の厚さにつながると思っている」
久保、堂安らは招集できず
東京五輪世代となるU-22代表の国内初陣となった、11月のU-22コロンビア代表戦に招集されながら、怪我で辞退したDF渡辺剛(FC東京)、MF遠藤渓太(横浜F・マリノス)、MF田中碧(川崎フロンターレ)もフル代表としてあらためて招集された。有望株たちをフル代表の舞台で鍛え上げられる点は、U-22代表との兼任監督のメリットを十分に生かした選手選考と言っていい。 東京五輪世代以外でも、たとえばJ1の得点ランクでトップに並ぶ15ゴールをあげてマリノスをけん引する成長株、27歳のMF仲川輝人が初招集された。中長期的な強化プランとE-1選手権は、指揮官が描く「結果にこだわりつつ、選手層を厚くしたい」という青写真で結びつけられている。 ひるがえって、ジャマイカとのキリンチャレンジカップに臨むU-22代表はどうか。金メダル獲得を目標に掲げる東京五輪本番まで、残された時間が7ヶ月あまりしかない状況を考えれば、明確なメッセージが伝わってこない顔ぶれになってしまったことは残念ながら否定できない。 現時点におけるベストメンバーと謳われた陣容で臨んだ、コロンビア戦から引き続き招集されたのはわずか8人。そのうち0-2で完敗したコロンビア戦のピッチに立ったのは、今回はボランチではなくディフェンダーとして招集されたキャプテンの中山雄太(PECズヴォレ)ら4人しかいない。 コロンビア戦でプレーしたGK大迫敬介(サンフレッチェ広島)、MF田中駿汰(大阪体育大)、FW小川航基(水戸ホーリーホック)、FW上田綺世(鹿島アントラーズ)がE-1選手権に回ったこともある。しかし、東京五輪世代の選手層を厚くする期間はすでに過ぎ去り、チームの骨格を固める段階に差しかかっているという視点で見れば、継続性の点で疑問符をつけざるをえない。 ジャマイカ戦へはMF久保建英(RCDマジョルカ)、MF堂安律(PSVアイントホーフェン)、DF板倉滉(FCフローニンゲン)、11月は怪我で戦線離脱中だったDF冨安健洋(ボローニャ)らのヨーロッパ組へJFAから招集レターが送られている。しかし、コロンビア戦に続いて招集されたのは中山と、FW前田大然(CSマリティモ)の2人にとどまった。冨安の名前もリストにはない。