<純烈物語>若い俳優ではなくおじさんたちによる戦隊ヒーローだからこそ味がある<第86回>
―[ノンフィクション連載「白と黒とハッピー ~純烈物語」]― ⇒【写真】純烈メンバー
<第86回>若い俳優ではなくおじさんたちによる戦隊ヒーローだからこその味が作品の妙に
純烈のプレス向け会見や囲み取材は、いつも笑いに包まれたものとなる。それがわかっている記者やカメラマンの中に、仕事抜きで楽しめるからと率先して足を運ぶ者がいても不思議ではない。 人前に出るからにはすべてがエンターテインメントという姿勢がそこにある。『スーパー戦闘 純烈ジャー』の発表会見では、メンバー(特にリーダー)と変身後の体型のギャップが笑いの肝となった。 変身前後の大きさの違いは“特撮あるある”なのだが、酒井一圭が扮する純バイオレットに関しては、歴代ヒーローものの中でも反則級。おそらく通常のオーディションならば、書類選考で落とされるレベルだ。 これはもう、エンニオ・モリコーネの名曲『Slalom』を流し「世間で話題となっているさまざまな件に対して、ちょっとだけ首を突っ込んだり突っ込まなかったりする番組」として高名な『月曜から夜ふかし』で「変身前とあとで体型が違いすぎる問題」と題してとりあげられなければ、世間は許しても戦隊ヒーローマニアの皆さんが許さないだろう。だが、当のリーダー本人は「着たら痩せるスーツ」とご満悦。
「変身するとスーツの力でなんとかなる。僕にいたってはちょっと背が小さくなったりするけど……」
メンバー最年長で2月23日に五十代へ突入した小田井涼平も「変身するとスーツの力でなんとかなる。僕にいたってはちょっと背が小さくなったりするけど筋力が上がる。どういうテクノロジーで造られているのか……」と話を被せる。年上2人のボケに突っ込むのは後上翔太で、白川裕二郎は笑ったり呆れたりリアクションを示さぬというリアクションをとったりと、臨機応変に使い分ける。 打ち合わせなしによって培われたこのフォーメーションは、ステージにおけるMCでも番組出演でも会見でも、どんなシチュエーションにも応用できる。スーパー・ササダンゴ・マシンは、そんな4人のやりとりを見て「いつまでも見ていられるじゃれ合い」と称賛していた。 じゃれ合うことによって笑いがとれ、金の雨が降るならばそれはOKなのだ。そして、そのために酒井の持ち駒としてデブネタはフェバリットホールドとなる。