腰痛を防ぐ体幹の整え方 ポイントはインナーマッスル
「体幹」は、腰痛、尿もれといった不調とも関連が深いのをご存じでしょうか。体幹研究で有名な早稲田大学スポーツ科学学術院の金岡恒治教授に、「体幹」の使い方を変え、不調を防ぐコツを聞きました。今回は「腰痛」を防ぐ体幹の整え方をお伝えします。 【関連画像】腰痛がある人は、腹横筋の働くタイミングが遅い ・腰痛を防ぐ体幹の整え方 ポイントはインナーマッスル ←今回はココ ・尿もれを防ぐ体幹の整え方 いきむクセがある人は要注意 ●体幹のインナーマッスルが「先に」動くことがカギ 「20年ほど前は、陸上も水泳も、腕や脚の動きこそが、選手のパフォーマンスを上げるのに重要だと考えられていました」と語るのは、体幹研究で有名な早稲田大学スポーツ科学学術院の金岡恒治教授だ。 脊椎(背骨)を専門とする整形外科医である金岡教授ですら、当時、体幹の中心を通る背骨が、パフォーマンスに影響すると考えていなかったという。ところが、15年ほど前からオーストラリアを中心に研究が進み、体幹に重要な役割があると明らかに。金岡教授が体幹の研究を始めたのもそのころだ。 そんな金岡教授が体幹で特に注目するのは、肋骨と骨盤の間を埋める筋肉群だ。「この腹と腰には、骨は背骨しかありません。あとは、いくつもの筋肉が姿勢を安定させています。それらの筋肉の働きが重要なのです」(金岡教授)。具体的には外側のアウターマッスルと、内側のインナーマッスルだ。次のページで紹介しよう。
役割が異なる体幹の2種類の筋肉を知ろう
外側のアウターマッスルと、内側のインナーマッスルについて確認しよう。それぞれ役割が異なる。 「これを私たちは、グローバル筋と、ローカル筋と呼びます。外側にあるグローバル筋は、背骨のダイナミックな動きを担いますが、背骨1つ1つの繊細な動きはできません。一方、ローカル筋は、背骨を安定させ、細かな動きを支えています。いわば、グローバル筋は新幹線のように大きな距離を一気に結ぶもので、ローカル筋は、ローカル線のように地方の1駅1駅を結ぶイメージです」と話す。 ●アウターマッスル 表層筋・グローバル筋 腹直筋、腹斜筋、脊柱起立筋の3つ。表面に近く、浅いところにある筋肉で、「背骨には直接ついていない」(金岡教授)。 腹直筋…お腹の中央を縦に走る筋肉。体幹を前に曲げる(屈曲する)役割がある。 腹斜筋…わき腹にある内腹斜筋と外腹斜筋からなり、体幹をねじったり、前、横に曲げるときに働く。 脊柱起立筋…背中の中央を縦に走るいくつかの筋肉の総称で、背中を反らしたり、横に曲げたりする。 ●インナーマッスル 深層筋・ローカル筋 腹横筋、多裂筋の2つ。内側にあり、背骨の1つ1つの骨「椎骨(ついこつ)」を安定させたり、細かな動きをコントロールする。 腹横筋…お腹の一番内側をぐるっと腹巻きのように取り囲む。「椎骨」を安定させる働きがある。 多裂筋…背中側の深層筋で、椎骨1つ1つにつく。椎骨の細かい動きを担っている。