「日産GT-R ニスモ」で、 国産スポーツの深くて濃い熟成を知る
2007年のデビューから14年もの間、国産スポーツモデルの最高峰として君臨してきた「GT-R」。日産のモータースポーツ部門である「ニスモ」が手がけたのがこの「GT-Rニスモ」だ。GT-Rと同じくイヤーモデル制をとって、毎年、着実な進化を遂げてきた。よって、その魅力で特筆すべきは「熟成」である。 【写真をもっと見る】日産GT-R ニスモ スペシャルエディション 世界が認める日本国内のチューニングカーショップは、ひとつの車種にこだわって、速さを極めていく文化がある。そこが手がければ新型より速いのは当たり前。時間をかけてエアロダイナミズムやエンジン、足回りを改良していく作業こそが、熟成であり日本のクルマ好きたちが育んだ個性であるといえるはず。 アクセルを踏み込めば、運転席に響く戦闘機のようなターボのタービン音に生々しいメカニカルノイズのハードコアブレンドが聞こえてくる。ザラついたV6エンジンの振動と4輪で路面に食らいつくような接地感。惜しみなく投入されたカーボンパーツとアルカンターラの内装が「その魂に火をつけましょう」と手招きしている。
まず感じるのは絶品とも呼べるアクセルとブレーキの操作感。ほんの少しの踏み込みでV6ターボはリニアに反応し、吹け上がりまでなめらか極まりない。そして昨今のスーパースポーツモデルと比較して「ヤバイ!」と感じるのはブレーキなんだ。カーボンブレーキで効き自体は間違いないものだけど、繊細な踏力で車体をコントロールできる。ミッションをオートマチックモードで運転していて、エンジンブレーキと連動させるとイメージする制動とシフトチェンジのタイミングに寸分の狂いもなくて、思わず声が出てしまうぐらいですよ(笑)。 ハンドリングも正確極まりなくて、峠のコーナリングにおいて、ほとんどの場合でフラット。ピーキーなところは微塵も感じさせずセーフティマージンをしっかりとれる安定のコーナリングなのだけど、進入速度を高くしていくとわずかにアンダー傾向が出てくる。それを合図に「ドリフトしますか?」とクルマが訊いてくる訳。