池袋暴走「上級国民」事件 飯塚幸三氏の収監直前に妻が語ったこと
21年も残りわずかとなった。今年、日本中から大きく注目を集めた人物のひとりが、飯塚幸三氏(90)だろう。 【画像】マスク姿の飯塚氏 飯塚氏が19年4月に池袋で暴走事故を起こし、「上級国民」と批判されたのはご存じのとおり。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われ、今年9月2日に、禁錮5年の実刑判決を受けた。飯塚氏は控訴せず、判決は確定。一時は体調の問題などで収監されないのではという見方もあったが、一転して10月12日に収監された。 収監前の状況について、飯塚被告のサポートを行ってきた『NPO法人 World Open Heart』代表の阿部恭子氏が話す。 「収監の少し前から、だいぶ足が悪くなっていました。一人では歩けず、部屋の中でも結構転んでいましたね。日常的に車椅子で生活するようになっていました」 飯塚氏が収監される直前の9月下旬、本誌は飯塚氏の妻のAさんを直撃していた。Aさんは手にエコバッグをさげ、自宅マンションから出てきた。高齢だが、足取りは軽く、これから買い物に出かけるようだった。 ――お話をさせて頂けませんか。 「何もお話することはございません」 ――飯塚さんも奥様も身体は大丈夫ですか。 「元気ではありますけど。まあ、そうでもないです。もう90(歳)ですから」 ――奥様はお元気だなと思いました。 「やっとのことで歩いているんですよ」 ――控訴しないことについて、ご夫婦で相談しましたか。 「その話はしていません」 ――ご夫婦でしていないのですか。 「ええ」 ――何らかの思いがあるなら、言うべきことは言ったほうがいいのではないですか。 「いいんです、うちはもう」 ――何を言われても、ですか。 「無抵抗主義です」 クリーニング店やスーパーなどで買い物を終えた後、Aさんは自宅マンションへと帰っていった。 前出・阿部氏が話す。 「収監後も支援は続けています。家族に刑務所での面会の仕方を伝えたり、刑務所内の細かい規則などを提供したりといったことをしています。刑務所内でも、今後も車椅子での生活になるのではと思います」 被害者遺族の松永拓也さんは、以前本誌の取材に対し、こう語っていた。 「判決が確定しても、2人の命が戻るわけでも、3人で暮らした日常が戻るわけでもありません。そこに、まずむなしさを感じてしまいます」 確かに飯塚氏の収監で事件に区切りはついた。しかし、この事件が残した爪痕はあまりに深い。
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