「株をやるのは頭の体操」 投資語録を多数遺した石田禮助(下)
「内容のいい株」は、将来性があり兜町がオモチャにしない株
国鉄総裁を退任して悠々自適のころ、「サンデー毎日」が「ヤングソルジャー石田禮助の投資作戦」を特集する。 「わたしはもともとこういう見込み商売的なことが好きなんだなあ。だからバク才があるなんていわれたんだが、株は本来、わたしにとっては、ジャスト、インベストメント(ただの投資)に過ぎない。財産の保全なんですよ。だから損はしないよ」 石田は医者から年を取ってこわいのは、心筋梗塞(こうそく)と脳軟化だといわれ、心筋梗塞には歩くこと、脳軟化には頭を使うことといわれ、株の研究・実践のため兜町通いに精を出す。 大正バブル経済時代の1,000万円の儲けを回顧しながら「まず見切りをよくすることだな。わたしはもともと見切りが非常にいい」と自慢しながら語る。 「東に向いていても、いけないと思ったら、さっと西に向くことができる。あの大正時代の1,000万円の儲けうんぬんの時、自分ながらよくやったと思っているのは、そのあと、人より1年も早く戦争終結を見越して、キープしていた船を手離したことだよ。相場は自分の力以上のことをやらないことだ。つまり余裕をもってやることだナ」 石田は個別、具体的に持っている銘柄を解説する。相当自信があるからできることだろう。「要するに、わしの方針は内容のいい、将来性のある、そして兜町の人がオモチャにしない株だよ」 【連載】投資家の美学<市場経済研究所・代表取締役 鍋島高明(なべしま・たかはる)>
石田禮助の投資語録 1、「わたしは株を買う場合、セールスマンにはあまり相談しない。経済雑誌をよく読んだり、各社の決算報告書を新聞から切り抜いたりして自分で研究する。きみィ、金もうけの楽しみはその道行きにあるんだよ。株屋の言うことを聞いて買ったり売ったりして、何が面白いものかね」 2、「脳軟化は頭を使うことが大切。株をやるのも頭の体操だよ。スペキュレーションやギャンブルじゃない」 3、「相場は自分の力以上のことはやらないこと」