「新型コロナ影響」5ポイント増、65% 肉用牛、花は長期化、米じわり 本紙調査
日本農業新聞が9月に行った農政モニター調査で、新型コロナウイルス禍の農業経営に与える影響が長期化、拡大していることが分かった。「深刻な影響がある」「影響がややある」と答えた農家は合計65%となり、4、5月実施の前回調査より5ポイント増えた。肉用牛繁殖(100%)、同肥育(91%)、花き(81%)といった品目で、前回に続き高い割合の農家が影響があると回答。水田農業でも前回を13ポイント上回る62%に達した。 今回の調査で、回答があった肉用牛繁殖農家の数は21人、肥育は22人。前回調査では、繁殖・肥育ともに100%の農家が影響があると回答していた。花き(回答数26)も前回より1ポイント減で、高い割合のまま。調査の自由記述覧に「取引先のレストランの閉店が相次いだ」(肥育)、「結婚式や葬式、イベントがなく売れ行きが悪い」(花き)と回答する農家もいた。 ただ、影響が「深刻」と答えた割合は、繁殖が前回調査より34ポイント減の57%、肥育が38ポイント減の50%。花きも15ポイント減の35%となり、一部では相場の回復などもうかがえる。酪農(回答数22)で影響があるとしたのは68%で、前回より28ポイント下がった。施設園芸(回答数35)は前回より13ポイント低い63%だった。 一方で、影響を実感する農家が増えた品目もある。水田農業(回答数263)農家での増加は、飲食店の営業・利用自粛を受けた業務向けの米需要減による可能性がある。畑作物(回答数29)は前回より10ポイント増の62%、野菜(回答数107)は5ポイント増の60%。需要減で「畑にすきこんだ」(野菜農家)という悲痛な声もあった。 コロナ禍で打撃を受けた農業経営などへの政府の対策は、「評価する」農家が前回より25ポイント増の45%、「評価しない」農家が22ポイント減の46%となった。品目別では、肉用牛肥育が前回より64ポイント増の82%、花きが57ポイント増の62%。補正予算などで講じた対策の効果を実感する農家が、一定に増えているとみられる。 コロナ禍による外国人材の入国や人の移動の制限の影響についても聞いた。農作業や出荷作業に影響があるとした農家は29%で前回より8ポイント減った。品目別では、肉用牛肥育(64%)、施設園芸(49%)などで高い割合だった。 調査は、本紙の農政モニター1135人を対象に9月中・下旬、郵送で実施。747人から回答を得たうち、農業生産をしていない人などを除いて割合を算出した。
日本農業新聞