「会ったその日にする」と答える高校生が増えているワケ 背景にある“新しい恋愛のスタイル”
現在の中高生の間では、ネットで知り合って、会ったこともないまま交際を始めるカップルが少なくない。 学校の先生方によれば、こうした「ネットの恋人」の存在は2000年代後半くらいから少しずつ見られるようになり、スマホとSNSの普及により、2010年代半ば以降に急増したそうだ。 彼らはどのようにネット上で交際を開始するのか。基本的には、SNSで気に入った相手を見つけ出し、ダイレクトメールを送るなどしてつながり、告白して交際するという流れになる。大人のようにマッチングアプリは使わず、SNSが出会いのプラットフォームになっているのだ。 このようにして交際を始めるカップルは、その後の付き合いの多くをオンラインで済ませる傾向にあるという。“コスパ”“タイパ”を名目に、デートはビデオ通話でしたり、同時刻に一緒に動画やゲームを見たりして行う。 出会いからデートまで一貫してオンラインで行っている中で、ぶつかる壁がある。肉体的な接触だ。こればかりは、SNSでは済ませられない。この時に至って、カップルは外で実際に会う必然性に駆られる。これが冒頭のアンケート結果と深くつながっている。 先の先生は話す。 「生徒たちはネットの中で1カ月、2カ月と仲を深めていく。でも、肉体的な接触は会わないとできないですよね。それでリアルで会おうということになるので、そのまま相手の家やホテルへ行く。これによってアンケートでは『会ったその日にする』という回答が多くなるらしいのです。彼らなりの説明でいえば、リアルで会ったのは初めてだけど、実際はSNSでずっと会ってきたということなのですが……」 オンラインでの出会いからデートまでをすべてリアルの付き合いとして捉えていれば、こうなるのは当然だろう。 とはいえ、これを「新しい恋愛のスタイル」と言って済ますのは危険らしい。本書の取材に応じてくれた先生方の多くが語ったのは、付き合いがオンラインへ移行したことによって起こる数々のトラブルだ。