特効薬「イベルメクチン」を製薬会社が頑なに“隠す”理由 「開発中の新薬が売れなくなる」
アメリカの複数の医療団体が「使用を推奨」
来るべき新型コロナ第4波に備えて、東京都医師会が使用を提言しているのが、ノーベル賞受賞の大村智博士の発見から開発された「イベルメクチン」である。世界中で有効性が示されているにもかかわらず、政府、製薬会社が及び腰になる事情とは――。 【写真】新型コロナウイルスに効果があるとされるイベルメクチン ***
「イベルメクチンの有効性については、世界27カ国から44の研究報告が上がっています」 と言うのは、COVID-19対策北里プロジェクト代表で、北里大学教授兼大村智記念研究所感染制御研究センター長の花木秀明氏だ。 「合計1万5420人に投与し、予防に89%、早期治療に82%、死亡率にも75%の改善が見られます。予防についてはアルゼンチンやインド、ブラジルなどの16の研究で、7011人に投与して確認された効果です。死亡率も複数の国での17の研究で、7267人に投与して確認されたものです。またハーバードメディカルスクールによれば、イベルメクチン投与群704例の致死率は1・4%で、同数の非投与群の致死率は8・5%。人工呼吸器を装着した患者にかぎれば、7・3%と21・3%と、さらに差は広がっています」 東京都医師会の角田徹副会長が補足する。 「アメリカでも医療従事者の団体が複数、FLCCC(新型コロナに関する医師の連盟)などが“イベルメクチンは新型コロナに有効だから使用を推奨していきたい”と報告を上げています。ヨーロッパにも同様の団体があり、臨床医がさまざまなやり方で可能性を探っている状況だと思います」
否定的な情報も
だが、否定的な情報も届く。3月4日には米医学誌「JAMA」に、コロンビアでの治験結果が発表された。新型コロナの軽症患者400人を二つに分け、5日続けてイベルメクチンを投与した集団と、プラセボを投与した集団を比較したが、症状が解消するまでの期間に統計上の有意差はなかった、というのだ。また、製造元のメルクも2月4日、新型コロナに対してイベルメクチンの安全性と有効性は示されなかった、と発表している。これらをどう読むべきか。 イベルメクチンに関する論文を読み続けているという作家の楡周平氏は、 「メルクの発表の安全性とは、なにを指しているのでしょうか。アフリカではオンコセルカ症の患者に、医師ではなくボランティアが配布しているほど、安全だとされている薬です。コロンビアでの治験も、『JAMA』に載った論文によれば、水に溶かした水剤が使われるなどしていて、疑問を抱く専門家もおられます」 と、専門外から不可解な点を示したうえで言う。 「日本の医師はRCT、つまり偽薬を使ったランダム化比較試験でポジティブな結果が得られなければ、エビデンスが得られたとは言えない、という見解の方が多い。しかし、観察研究レベルでは世界中でポジティブな成果が発表され、少なくとも私は、コロナ患者にイベルメクチンを処方した医師でネガティブなことを言う人を見ていません」