世界一を達成した大谷翔平 来季の投手復帰どうなる?野球医学の専門家がコメント「医学的には十分可能だと思います」
今年のメジャーリーグは、大谷翔平に始まり大谷翔平で終わったシーズンであった。 韓国で行われた開幕戦では、通訳水原一平氏が自ら行った賭博行為により大谷の口座からおよそ25億円を不正に送金した問題が発覚し、全米を揺るがした。 【動画】大谷翔平は道具も異次元だった!元メジャーリーガーが驚愕スペックを熱弁 その後、大谷の関与はなかったことが証明され、新天地ドジャースの水にも慣れるとエンジン全開。 史上初の「50-50」(50本塁打、50盗塁)、日本人初のトリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)などを記録し、本塁打、打点の2冠王となり2年連続3度目のMVPを獲得した。 「彼はフィールドで最高の選手だ。彼が打席に入るたびに、何かが起きると期待する」(ベッツ)。 地区優勝を飾り、悲願だったポストシーズンゲームに初めて出場するとワールドシリーズへと駆け上がり、ジャッジ擁するヤンキースを下して世界一に輝いた。高校時代からの夢を一気に達成した形だ。 しかし…である。我々は何か重要なことを忘れていないだろうか。 「本当に信じられない。みんな、彼がトミー・ジョン手術を受けリハビリ中だということを忘れている」(フリーマン)。 そう、大谷は現在もまだリハビリの真っ最中。順調な回復が伝えられている中、ロバーツ監督は先日、訪日した際の会見で来年3月の日本開幕戦について次のように語っている。 「日本で投げる可能性は限りなくゼロに近い。ショーヘイが投げないとファンはがっかりするだろうが、我々はショーヘイにとってベストなことをする。(ワールドシリーズで痛めて手術した)左肩は、投げることに関してはそれほど影響があるとは思わない。肘の状態がどうかという点が大きい」。 実際の状況はどうなのか。リアライブ取材班はこの人を緊急直撃!話を伺ったのは、野球医学の専門家・馬見塚尚孝氏。 9月にドジャー・スタジアムに足を運ぶなど最近の大谷事情にも精通しており、投手大谷について徹底解説してもらった。 簡単にここまでの経過を振り返ってみよう。昨年のシーズン途中に右ひじの靱帯断裂が発覚し9月に2度目の手術を行ったが、この時採用された術式が“ハイブリッド手術”と呼ばれる靱帯を補強するものだった。 復帰に約1年半を要するトミー・ジョン手術よりも早期回復が見込める方法を選択し、投手復帰を2025年シーズンの開幕と見据えた。 大谷と同じ術式を経験した前田健太(タイガース)は「1回目と2回目で全然違うと思うので、難しいプロセスではありますが、本人の取り組み方とか気持ちとかそういうもので必ず変わってくると思うので、彼であれば必ず大丈夫だと思います」と語っている。 その言葉通り、大谷は順調にリハビリをこなし、今年3月に予定よりも1か月早くキャッチボール再開した。 8月からはブルペンに入り、9月には最速150キロを計測。来シーズン開幕戦での二刀流が十分期待できるほどの回復ぶりを見せていた。 「(開幕戦での復帰は)医学的には十分可能だと思います。実際、私も現地で見てかなり強く投げているなと思いました。人工靱帯が加わっていますので、より大きな負荷がかかっても耐えられる肘になっています。問題なく復帰できるんじゃないかと思いますよ」(馬見塚氏)。 来季のドジャースの先発陣は、ジャイアンツからFAとなったサイヤング賞左腕ブレイク・スネル(31)を獲得したこともあり、大谷が開幕に間に合えば山本由伸、グラスノーの4本柱が揃うことになる。 ただし、馬見塚氏は“完全復帰”には、カギになるボールがあるという。魔球「スイーパー」だ。真横に大きく変化する魔球は諸刃の剣。 打ち取れる可能性が高い反面、腕を大きくひねって投げるため、他の球種に比べて肘への負担がより大きくなるからだ。 「大谷選手の場合はスイーパーを投げるのに左足をインステップしたり、腕の振りをちょっと横に落としたりするんです。そういう意味ではリスクの高いことにチャレンジしたということですけど。チェンジアップやカーブのような肘への負担が少ないボールを増やしていく新しい大谷投手として成長していく可能性も十分あると思います」(馬見塚氏)。 負担の大きいスイーパーを投げられるか、それとも他の球種をセレクトするのか。道なき道を歩んできた大谷は果たして、来シーズン、どんな姿を我々に見せてくれるのだろうか。投手復帰について大谷本人はこんなコメントを残している。 「サイヤング賞?そうなれたらいいですけど、まずは復帰して、もう一回さらに強くなったパフォーマンスを出して、自信を持ってマウンドに上がるのがまず目標です」。 前述の4本柱以外にもゴンソリン、メイ、ミラーらも控えており、ポスティングの佐々木朗希の動向次第では一大帝国が出来上がるドジャース先発陣。 ロバーツ監督はそのあたりの事情も考慮して投手大谷の復帰タイミングを検討すると思われるが、ファン心理とすれば“万全な状態なら早く投手大谷を見たーい”。 テレ東リアライブ編集部
テレビ東京スポーツ