鹿賀丈史・1歳違いの松田優作に刺激受け映画デビュー
優秀な日米スタッフによって作り上げられる舞台
また重要な鍵を握るのは、キャストや演出と並んで、音楽の存在も大きい。手がけたのは、本場ブロードウェイでもその才能を発揮し、『ジキル&ハイド』をはじめ、ホイットニー・ヒュースとンやナタリー・コールへの楽曲提供など、世界中で高く評価されている作曲家、鬼才・フランク・ワイルドホーン氏だ。ほかにも、多くの日米スタッフらによって、舞台『デスノート The Musical』は、作り上げられている。 これまで、日本で上演されるミュージカルといえば、ブロードウェイなど海外で好評だった作品を日本で再現するというパターンが主流だったが、「日本発のミュージカルが受け入れられる土壌ができたということですね。僕が若かった頃には、考えもしなかった夢のような現実がいま目の前で起きているんですよ」と鹿賀も興奮を隠しきれない。 舞台の幕をあけて4回目の公演を終えた翌日に今回のインタビューを実施したが、すべての回で、スタンディングオベーションが沸き起こり会場は興奮の渦に包まれた。そんななかで役者は、何度もカーテンコールをしながら、確実な手ごたえを目の当たりにする。そんな感覚を体験できるのも、舞台役者ならではの醍醐味だろう。
発声練習はいつも移動中の車で
「日本でつくった舞台で、日本のお客さんがこれだけ喜んでくれる。そんな時代がきたんですよ。もちろん、作品自体の出来がいいわけですが、俳優陣もどんどんレベルが上がってきている。この作品は、若者中心の劇ですが、演出の仕方ひとつとっても非常に面白い。だから共感を呼び、若い人たちも興味をもって支持してくれるんでしょうね」と冷静に分析する。 役作りをするときはいつも、声のトーンから役に入るという鹿賀。「僕はこの舞台では、刑事局長役を演じているんですが、役作りではいつも、声はどんなトーンから入ろうかなとまず考えます」。では、圧倒的な存在感を放つ持ち前の美声は、どのようにしてトレーニングしているのか。この問いに対して鹿賀の口から意外な答えが返ってきた。 「発声練習はいつも自宅ではなく、移動中の車のなかでやるんです。マンションで発声練習やせりふの練習をするのもいいんですが、やっぱり気が引けちゃうんですよね。だって、オカマの役を大きな声で練習するのもなんだかねぇ・・・」と、本作直前まで上演していた舞台『ラ・カージュ・オ・フォール』の役作りでのエピソードを踏まえ、笑いながら答えてくれた。