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大人数の逃げから抜け出したケムナが勝利 総合勢は終盤バトルもログリッチの首位変わらず

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 ツール・ド・フランス2020は第3週に突入。現地時間9月15日に第16ステージを行い、レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が最大23人に膨らんだ逃げメンバーの中から抜け出してステージ優勝。ツール初勝利を挙げた。この日は総合上位陣もレース終盤に駆け引きが激化したが、形勢を揺るがすまでには至らず。プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がマイヨジョーヌを守っている。 【特集インデックス】ツール・ド・フランス2020 大人数の先頭グループが着実にリードを広げる  前日の9月14日は今大会2回目の休息日として、現在レースにかかわっている出場全チームの選手・スタッフを対象にPCR検査を実施。全785検体からの新型コロナウイルスの感染は確認されず、ここまでレースに残っている156選手すべてがスタートラインに並んだ。また、第1休息日の検査で陽性となった大会ディレクターのクリスティアン・プリュドム氏も検疫期間を終えて現場復帰。多くのメディアが彼の声を得ようと集まる中、スタート地での各種イベントに顔を見せた。  そんな中でスタートが切られた第16ステージは、ラ・トゥール=デュ=パンからヴィラール=ド=ランまでの164km。ポイントとなるのは、中盤に控える2つの2級山岳、コル・ド・ポルト(登坂距離7.4km、平均勾配6.8%)、コート・ド・ルヴェル(6km、8%)、そして後半で迎える1級山岳モンテ・ド・サン=ニジエ=デュ・ムシェロット(11.1km、6.5%)。これらの上りを終える頃には、前線に残るメンバーは大筋絞り込まれるとの予想。そして最後は、3級山岳コート2000を上ってフィニッシュを迎える。  イネオス・グレナディアーズ勢のアタックで幕を開けたレースは、ここまでの数ステージと同様に激しい出入り続いた。一時は25人ほどが前へと出たが、容認されることはなく集団へと戻されている。  この間、たびたび前方をうかがっていたリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が再度のアタックでリードを奪うと、これを追った選手たちが続々と合流。スタートから22kmとなったところで15人の先頭グループが形成され、その後もメイン集団からは追走を図る動きが相次いだ。集団は40kmまでにリーダーチームのユンボ・ヴィスマがコントロールを本格化させ、それまでにアタックしていた選手たちの先行を容認。レースの流れが少しずつ固まっていった。  44.5km地点に設定された中間スプリントポイントは、ポイント賞争いで3位につけるマッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム)が1位通過。ここで付与されるポイントはすべて逃げている選手たちが占めている。  着々とリードを広げていく先頭グループでは、ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)がコル・ド・ポルトに入ってアタック。山岳ポイント獲得へ積極的な姿勢を見せる。続くコート・ド・ルヴェルでも同様にスピードアップを図り、連続で1位通過を決める。この時点で、山岳賞首位のブノワ・コヌフロワ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)とポイントで並んでいる。  この間、追走していた選手たちが上りで先頭グループへの合流に成功。先頭グループは、この日最大の23人にまで膨らんだ。 アタック一発で勝利射止めたケムナ  フィニッシュまで40kmとしたところで、先頭グループとメイン集団との差は12分30秒。ステージ優勝争いは前方を走る選手たちから出ることは濃厚な状勢に。モンテ・ド・サン=ニジエ=デュ・ムシェロットの上りを目前に、カンタン・パシェ(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)がアタックすると、徐々に勝負を意識した動きがみられるようになる。  しばしパシェの独走が続いたが、頂上まで6kmとなったところでカラパスが追撃を開始。これにケムナ、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)、セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマ・エフデジ)が続く。1.5kmほど進んだところでパシェに追いつくと、タイミングを計ったカラパスがアタック。すかさずアラフィリップがチェック。テンポを守りながらケムナとライヒェンバッハも追いつくが、カラパスのハイペースに対応できたのはケムナだけとなる。  そして、このステージの決定打は1級山岳の頂上手前で決まることとなる。先頭を牽引し続けたカラパスの隙を突いてケムナがカウンターアタック。一瞬反応が遅れたカラパスは慌てて追うも、勢いづいたケムナまでは届かない。ケムナは頂上をトップで通過すると、続く下り基調の区間も快走。最後の上りであるコート2000を迎える頃にはカラパスに1分以上の差をつけた。  フィニッシュへとつながるこの上りもまったく問題なくこなしたケムナは、独走で最終局面へ。後続に対して十二分なリードを持ったまま、勝利のフィニッシュを決めた。  ケムナはボーラ・ハンスグローエの一員になった今季、いくつも好リザルトを残し、前哨戦のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでもステージ1勝。今大会では、第13ステージでステージ優勝まであと一歩に迫っていたが、それからわずか4日で再度のチャンスをモノにしてみせた。レースを終えて「最高の気分だ。勝つためには独走に持ち込むことが条件だと分かっていた」とコメント。アタックの瞬間については、「カラパスが攻撃した後にペースが落ちていることを感じていた。ここで行くべきだと感じた」と説明。自身にとってツール初勝利と同時に、チームにとっても今大会最初の勝利。「こんな勝ち方ができるなんて信じられない。何よりチームに安心感を与えられる勝利になったと思う」と喜んだ。  ケムナ以後、カラパスが2位、ライヒェンバッハが3位と続き、19位までを逃げていた選手たちが押さえている。 最後の2kmで緊迫も総合上位陣に大きな変動は起きず  逃げていたメンバーとは完全に「別のレース」となったメイン集団。モンテ・ド・サン=ニジエ=デュ=ムシェロットに入る直前に、個人総合11位のギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)がアシストのニコラ・エデ(フランス)を引き連れアタックするも、有効打にはならず集団へと引き戻される。ユンボ・ヴィスマのコントロールは変わらず、このまま“ノーバトル”で1日を終えるかと思われた。  そんな集団に緊張が走ったのは、残り2km。個人総合2位のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)がダビ・デラクルス(スペイン)のペースアップに乗じて集団先頭へ。これをきっかけに総合上位陣が一気に前方へと集まってくる。残り1kmを目前に、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が牽引を開始していったんメイン集団をまとめたが、残り400mでポガチャルが計ったようにアタック。すかさずログリッチがチェックに動き、総合上位陣も遅れることなく続いた。  さらに個人総合4位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)がカウンターアタックを繰り出したが、ここも総合上位陣はきっちり対応。一団のままフィニッシュラインを通過した。 ログリッチ「クイーンステージに向けて準備はできている」  このステージを終えて、個人総合トップ10圏内での変動は同10位だったトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)と同9位のナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)の入れ替わりのみ。キンタナは最終盤で失速しランクダウンを喫している。  ログリッチはマイヨジョーヌを堅守。山岳3連戦の初日をクリアし、「とても良い1日だった。スタートからしばらくと、フィニッシュ前でスピードが上がったが、集中して走り切ることができた」と満足げ。超級山岳2つが待ち受ける次のステージに向け、「ここまではチームみんなが素晴らしい働きをしている。私自身も準備ができている」と自信を見せる。勝負のポイントについての質問には、「最後の3~4kmの自転車道がとてもハードだと感じている」と語る。そしてジャージを守るべく「自分の脚がどれだけ耐えられるか、そしてチームとして最善を尽くしたい」と続けた。  第2週同様に攻撃的な走りを見せたポガチャルは、最終盤のアタックについて「数秒奪えたらと思ったが、今日の脚では難しかった」とコメント。一方で、「明日に向けたよいウォーミングアップになったと思う」と述べて表情は明るい。マイヨジョーヌ奪取をかけた最重要な1日へ向けては、「コル・ド・ラ・ローズは今まで上ってきた山岳の中で最も難しいと思う。攻撃を焦ってはいけない。他の選手たちがどのように対応しているか見ながら走ることになる。そして最後のセクションでは、誰に脚があり、誰が限界に達しているかをチェックしていきたい。総合成績に大きな変動があるはずだ」と展望した。  9月16日に行われる第17ステージで、マイヨジョーヌ争いの形成がより明確になりそうだ。今大会のクイーンステージ(最難関)との呼び声の高い1日は、中盤に超級山岳マドレーヌ峠(17.1km、8.4%)を上り、ダウンヒルを経て今回の最高峰である標高2304mの超級山岳コル・ド・ラ・ローズ(21.5km、7.8%)へと向かう。特に、フィニッシュ前約4kmからの勾配の変化に耐えられるかが勝負のカギに。フィニッシュ前2.5kmで最大勾配24%、その後も20%前後の急坂が続く。このステージを制することは、そのままマイヨジョーヌをを手繰り寄せることにもつながるであろう最高の舞台。ツール史に残る激闘となることは必至だ。 【特集インデックス】ツール・ド・フランス2020 第16ステージ結果 1レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)4時間12分52秒 2リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)+1分27秒 3セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマ・エフデジ)+1分56秒 4パヴェル・シヴァコフ(ロシア、イネオス・グレナディアーズ)+2分34秒 5シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)+2分35秒 6ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)+2分37秒 7ティシュ・ベノート (ベルギー、チーム サンウェブ)+2分41秒 8ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チーム サンウェブ)+2分47秒 9カンタン・パシェ(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)+2分51秒 10ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)+2分54秒 個人総合(マイヨジョーヌ) 1プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 70時間6分47秒 2タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)+40秒 3リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング)+1分34秒 4ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)+1分45秒 5アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)+2分3秒 6リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)+2分13秒 7ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)+2分16秒 8エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム)+3分15秒 9トム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)+5分19秒 10ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)+5分43秒 ポイント賞(マイヨヴェール) 1サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)269 pts 2ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)224 pts 3マッテオ・トレンティン(イタリア、CCCチーム)212 pts 山岳賞(マイヨアポワ) 1ブノワ・コヌフロワ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)36 pts 2ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)36 pts 3タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)34 pts 新人賞(マイヨブラン) 1タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 70時間7分27秒 2エンリク・マス(スペイン、モビスター チーム)+2分35秒 3エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)+18分24秒 チーム総合 1モビスター チーム 210時間11分6秒 2イネオス・グレナディアーズ+35分37秒 3EFプロサイクリング+37分0秒 【J SPORTSでツール・ド・フランス全21ステージ独占生中継】

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