なぜ「小中一貫教育学校」創設を目指すのか 教育再生会議が提言
「地域の事情に合わせられる」「9年間で挫折した場合が心配」
かつて文科省は中央教育審議会に作業部会を設けて、義務教育学校制度を創設するかどうか検討したことがあります。その際、「地域の事情に応じて制度が選択できる」「学力向上を図るには極めて自然」といった賛成意見の一方で、「9年間の途中で挫折した場合が心配だ」「人間関係が固定化する」「受験エリート校化も懸念される」といった慎重意見もありました。 結局、12年7月にまとめた報告書(意見整理)では、諸外国でも初等教育(小学校段階)で複数の学校種の設定(複線化)をしている国がないこと、特例の活用などで十分対応できることなどを理由に、制度化を事実上見送りました。 しかし教育再生実行会議では、かつて中教審作業部会で慎重派だった委員が制度化の賛成意見を展開するなど、政権交代と「アベデュケ―ション」への期待が高まる中で議論の雰囲気は変わっていたようです。 (渡辺 敦司/教育ジャーナリスト)