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Apple Watchの新機能「睡眠」が生まれた背景 アップルのキーパーソンに聞く

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マイナビニュース

この秋、Apple Watchの最新OS「watchOS 7」が無料のソフトウエアアップデートで提供されることになりました。なかでも、注目度の高い新機能「睡眠」の詳しい特徴について、アップルのテクノロジー担当バイスプレジデントであるケビン・リンチ氏に話を聞くことができました。 【写真】Apple Watchを手首に装着した状態でベッドに入ると、アップル独自の機械学習モデルと突き合わせて「眠っている状態」を正確に認識し、2週間分の睡眠状況が確認できる 専門家によるチームを作り「睡眠」の機能を完成させた watchOS 7は、iOS 14をインストールするiPhone 6s以降のiPhoneと、Apple Watch Series 3以降とのペアで利用できます。睡眠記録は「ヘルスケア」アプリに新しく組み込まれます。過去2週間にわたって記録された睡眠の履歴を、Apple WatchとiPhoneのヘルスケアアプリで確認できます。 なぜアップルはいま、このタイミングで睡眠記録アプリケーションをリリースしたのでしょうか。リンチ氏は「健康にとって睡眠がもっとも重要な要素のひとつであると考え、何年にもわたって開発に取り組んできた」と話します。 睡眠の科学については、まだ完全に解明されていない部分があるため、アップルでは多くの専門家によるチームを作り、異なる段階の睡眠が果たすそれぞれの役割などについて深い研究調査を積み重ねてきたそう。社内から数千人の研究参加者を募り、睡眠のコーチングについても学んできたのだといいます。 新機能の名称は、英語では「Sleep=睡眠」と、とてもシンプルです。その理由をリンチ氏は「十分な睡眠を得るための包括的な機能であり、どのようなことをしてくれるものであるのか、ユーザーに分かりやすく伝えたかった」からであると述べています。 Sleepは、Apple Watchを手首に装着した状態でベッドに入り、睡眠時間を記録してくれる機能です。眠りに就く時刻と起床したい時刻をヘルスケアから設定すると、起きる時間にはApple Watchがアラームサウンド、または触覚フィードバックによる振動で穏やかに目覚めさせてくれます。 眠っている間は、Apple Watchが内蔵する加速度センサーでユーザーの寝息や身体の細かな動きを検知しながら、アップル独自の機械学習モデルと突き合わせて「眠っている状態」を正確に認識します。先進的なApple Watchらしさが光る部分といえます。 睡眠記録ともうひとつの柱「就寝準備」とは ヘルスケアには「Wind Down」(就寝準備)という新機能も加わります。これは、就寝前の時間をリラックスして過ごせるよう、心と身体を穏やかに整えてリラックスするためのルーチン作成をApple WatchとiPhoneが助ける機能です。 リンチ氏は「就寝前のルーチンを作り、覚醒から睡眠へ状態をスームズに移行することが大切です。睡眠記録アプリケーションは、ユーザーの睡眠状態を追跡記録することに加えて、就寝前のルーチンを作るところから支援できるように、包括的なアプローチで開発に取り組んできました」と、就寝準備の成り立ちを説明しています。 就寝準備は、いわばよい眠りを獲得するためのコーチング機能のようなものと捉えることができそうです。 ヘルスケアアプリから睡眠記録を選ぶと、日記を書いたり、読書などさまざまなアクティビティを実践するようにレコメンデーションが表示されます。就寝準備の内容はユーザーが自由に決められます。例えば、「ホーム」アプリからスマート照明のシーンを設定し、就寝前に少し部屋を暗くしたり、リラックスできる音楽をiPhoneで聞いたり、瞑想アプリでリラックスするといったルーチンを選んで、覚醒から睡眠状態へのスムーズな移行を図ります。 就寝準備がスタートすると、iPhoneのロックスクリーンが穏やかな明るさになって、選択したアクティビティへ素速く移動できるショートカットが並びます。ユーザーがストレスやプレッシャーをなるべく感じないように、シンプルでスムーズな使い勝手が実現されそうです。 ベッドに入って設定した就寝時間を迎えると、Apple Watchの画面が暗転します。Apple Watch Series 5の場合は、画面の「常にオン」を選んでいても、眠っている間は睡眠機能が優先されて画面をオフにします。眠っている間に少し目が覚めたときにApple Watchの画面をタップすると、時刻にカレンダー、アラームの設定時刻だけが表示されるシンプルな文字盤が立ち上がります。 目覚めたあとは、Apple Watchの画面に挨拶の言葉や眠った時間、今日の天気やバッテリー残量などの必要最低限の情報が表示されます。メガネを掛けていなくても情報が読めるように大きな文字で表示されるのが特徴です。 心地よい睡眠をシンプルに探求してほしい スリープトラッキング機能を特徴としてうたうデバイスのなかには、睡眠の質を「スコア化」してユーザーに見せる機能を搭載するものも数多くあります。一方、アップルのヘルスケアアプリには得点表示が設けられていません。 その理由について、リンチ氏は「スコアリングなどはまた別次元のデータを作り出すことになり、睡眠不足を感じている人に新たな心配の種になる可能性があります。就寝準備というシンプルでクリアな体験は、穏やかに就寝して睡眠時間を確保できるようにデザインされています」と説明します。 就寝準備は、より繊細な睡眠へのスムーズな移行を手助けすることを目的としているため、ユーザー自身が最適なルーチンを作り、それを毎日続けて行うよう優しく促しながら、心地よい眠りを支援する機能であるところに大切な意味があるようです。 リンチ氏は「眠りを必要とするすべての人に、睡眠記録アプリケーションでより良い睡眠を体験してもらえることを願っています」と期待を語ってくれました。watchOS 7を試せる日が今からとても楽しみですね。 著者 : 山本敦(やまもとあつし) ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。

山本敦

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