おやつなのに「ご飯のおかず」として人気…受刑者200人の声を料理研究家が再現した「刑務所ごはん」のリアル
■きな粉の食べ方いろいろ 特筆すべきは先述した“きな粉”だろう。麦飯にまぶして食べたのち、残りを味噌汁に加えたりすることもあるという。貴重なタンパク源であるため、無駄にはできない。「水を足してペースト状にする者、お茶に入れて飲む者、飯を一生懸命スプーンでつぶし餅状にしておはぎを作る者とさまざま」だ。スプーンはプラスチック製である。 副菜はそれぞれ、刑務所の食事を知らない私たちが想像する量の、よくて半分程度ではないかということだ。それでたっぷりと分量のある麦飯をかき込む。 朝昼晩、総じて言えることのようだが、作られてから支給されるまでそれなりの時間が経過しているため、湯気の立つような味噌汁ではない。 それでも、「最も美味しく感じられるのが朝食です。そう感じている懲役は多いと思います」といった声もある。 ---------- ほんにかえるプロジェクト 2015年9月、受刑者の更正支援団体として設立。今までに約400名の面識のない受刑者に約1万冊の書籍を送り、受刑者が有意義に刑期を過ごせるよう支援してきた。本を送った受刑者会員と文通することでひとりの人間として接し、寄り添うことで社会との接点を作れるよう努力している。 ----------
汪 楠、ほんにかえるプロジェクト ライター=田内万里夫 写真=名和真紀子 料理=田内しょうこ