ノーベル平和賞授賞式に出席した高校生平和大使「広い世代の若者と平和考える機会持ちたい」…熊本市で報告
日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞の授賞式に出席した高校生平和大使の島津陽奈さん(16)(九州学院2年)は18日、熊本市で活動報告の記者会見を開いた。ノルウェー・オスロ滞在中の交流を振り返り、「被爆者や被爆地の高校生が活動するだけでは限界がある。声を上げ続けないと世界は変わらず、広い世代の若者と平和を考える機会を持ちたい」と語った。(小波津晴香) 【写真】第2回国連軍縮特別総会で「ノーモア・ヒバクシャ」と演説する山口仙二さん(1982年6月)
授賞式に合わせ、熊本、長崎、広島の高校生4人が派遣された。被爆地ではない熊本が選ばれたのは、核兵器廃絶を求めて毎月実施する署名活動、高校生が講師を務めて各学校で行う独自の出前授業「平和の種まきプロジェクト」といった活動への評価という。
授賞が決まった後の約1か月間、現地でのプレゼンテーションに向け、ほかの平和大使とともにオンラインで原稿の準備に取りかかった。
滞在した8~12日は高校や大学など数か所を巡ってプレゼンテーションを行い、長崎と広島の被爆被害や活動への思いを訴えた。自身は現地の人と同じ被爆地出身ではないことから、「立場が近い高校生でも平和活動ができることを伝えられた」と手応えを口にした。このほか、高校への出前授業では核兵器問題について議論したり、平和を願う折り鶴の折り方を教えたりして交流を深めた。授賞式後は被団協のメンバーからねぎらわれ、「若い世代が期待されていると感じた」と気持ちを新たにした。
島津さんは6月頃から高校生平和大使として本格的な活動を始めた。小学6年の修学旅行で長崎を訪問した際、原爆資料館の展示や被爆証言を見聞きして、「どの世代までが、この証言を聞けるのだろう」と関心を持ったのがきっかけだったという。被爆2世や胎内被爆した人の証言に触れ、原爆被害は今も続く問題と考えるようになった。戦後80年となる来年に向けては、「さらに声を上げ続ける必要がある」と力を込めた。
島津さんは会見に先立ち、熊本県の木村知事を表敬訪問して写真を紹介しながら現地での活動を報告した。木村知事は「今回の活動を同世代の若い人たちに伝えていってほしい」と話した。