埼玉県内企業のボーナス3・3%増の57万円超、人材確保目的で増加か ぶぎん地域経済研
ぶぎん地域経済研究所が調査した「埼玉県内企業令和6年度冬季ボーナス支給予定」によると、県内企業の1人当たり平均支給予定額は前年度比3・3%増の57万8296円だった。増加は3年度以来、3年ぶり。ただ、好調な業績を反映したものではなく、人材不足による従業員のつなぎ止め、確保を目的とした「無理をした支給額」というのが実態のようだ。 ■昨冬より増加21% 支給を「昨冬より増加」と回答した割合は21%で、前年度に比べ2ポイント増加した。「昨冬より減少」は1ポイント増の12%だった。「昨冬と変わらず」が10ポイント減の44%、「支給方針未定」が5ポイント増の17%だった。「変わらず」を除き、「増加」と「減少」のどちらかを選択した企業の割合をみると、4年連続で「増加」が上回ったという。 また、平均支給予定額を業種別にみると、製造業は2・3%増の47万2875円、非製造業は3・3%増の61万6015円となった。 予定額を月数に当てはめると、全体では0・05カ月増加の2・23カ月で、内訳は製造業が0・06カ月増の1・91カ月、非製造業が0・05カ月増の2・35カ月だった。 ボーナス方針や支給額を決定する際の項目(3項目以内複数回答)についてみると、「自社の業績」(94%)が最も多く、次いで「昨冬の支給実績」(47%)、「今夏の支給実績」(25%)、「同業他社との比較」(10%)などとなった。 ■従業員100人未満の経常利益指数が悪化 ただ、同地域経済研の調査では、経常利益が「増加」から「減少」を引いた指数は、6年度はマイナス15と前年度比で7ポイント減少している。特に従業員100人未満の企業の指数は9ポイント減のマイナス17とさらにマイナス幅が大きいという。 企業の実態は、為替が円安に進む中、原材料・仕入れ価格、人件費の上昇などコストの増加と、販売価格の引き上げや販売数量増などでは十分にカバーができていない。実際は県内企業のボーナスは減額する局面にあってもおかしくないが、同地域経済研では「深刻な人材不足による人材確保を目的に前年度以上のボーナス支給に前向きになっている」と指摘している。 調査は10月18日~11月6日に県内535社を対象にアンケート方式で実施、回答企業は105社だった。