”すっからかん”で挑む瑛人──「君のドルチェ&ガッバーナの香水のせい」でこうなった?
YouTubeでのミュージックビデオ再生回数が1億2000回を突破、ソーシャル・プラットフォーム上での人気から火がつき、爆発的な大ヒット・ソングとなった『香水』を作り、歌った瑛人とは、どんな男なのか?「ブレイクスルー・ソング・オブ・ザ・イヤー」賞を受賞した期待の新人シンガー&ソングライターの、等身大の極みのような人柄に迫った。 【写真を見る】瑛人を撮り下ろした
1年後の大ヒット
「君のドルチェ&ガッバーナのその香水のせいだよ」。このなんとも耳に残るフレーズを含んだ曲が爆発的に流行り始めたのは、2020年の春頃のことだった。瑛人の『香水』。この曲が全国に広まっていった時期は、日本人の多くが無用な外出を避け、家族や友だちと距離をとって独りの時間を過ごしていたステイホーム期間と重なっていた。誰もが部屋でネットを見ていた。そこで見つけた曲を誰かが歌って、SNSにアップしてみた。それが連鎖していく。口コミならぬ、歌コミとして、この曲は人口に膾炙していった。 かつての恋人のことを香水の匂いとともに思い起こす曲。そんな感傷的な曲のイメージと歌っている本人のキャラクターの間には、ギャップがある。瑛人本人に会ってみるとすぐに、気さくで人懐っこい雰囲気で周囲を和やかにさせるタイプであるとわかる。そして、もう少し時間が経ってくると、少し馬鹿をやって周囲をぱっと明るくするような素顔に近いキャラクターも見えてくる。 一方、この日は、ビデオによるインタビューの撮影も行われたのだが、瑛人は、慣れたものといった感じで受け答えをしていた。テレビのドキュメンタリーのカメラも入っていたのだが、それも慣れた感じで特に意識している様子もない。ものおじしない。 「Vlogをやってるのもあって、動画の撮影は慣れてるんですよ。むしろ動かない写真の撮影とかは緊張しましたね。テンションが上がってきて。ようやくいまはちょっと慣れてきましたけど」 動画のカメラの前で緊張しないのは、SNS世代ならではという気もするが、特別待遇を他人に要求するといったようなネットから登場したインフルエンサーの一部になきにしもあらずの振る舞いを見せるわけでもない。 自分にまだ何が起きているのかはピンときていない。来年ぐらいになれば何かしら実感もできるんだろうなとは思っています 「みんなに歌ってもらったのはめっちゃうれしかったですよ。ただ、SNSはあんまり見ないようにしてるんです。良いことばかりではないし、引っ張られるっていうか、やっぱ多少むかついちゃうところもあるので」 SNSの中での生活がすべてというタイプではないのだ。むしろ、彼の立ち居振る舞いには、まだハンバーガー屋で働いているお兄ちゃんという部分も残っている。”バイト敬語”の口調が残っていたり、いまだ尊敬する人の話として、店長の話がでてきたりといった具合だ。しかし、彼の日常はもはやかつてのそれではない。 「ちょっと前まではハンバーガー屋でアルバイトをしていて、朝決まった時間に起きて、仕事をして、まかないを食べて帰ってきてすぐ寝る、という決まった毎日だったんですよね。だけど、最近は起きる時間も違うし、まかないも食べてない。決まった毎日じゃないなっていう感じではあるんですけど、自分にまだ何が起きているのかはピンときていない。来年ぐらいになれば何かしら実感もできるんだろうなとは思っています」