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夏目漱石「草枕」文豪の慕情 ひそやかに【あの名作その時代シリーズ】

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西日本新聞
夏目漱石「草枕」文豪の慕情 ひそやかに【あの名作その時代シリーズ】

夏目漱石が歩いたとされる石畳の道。表面にはこけが生え、歴史の重みを感じさせる

 那美さんに会ってみたい。    「草枕」の読み方はいろいろあるだろうが、私のような三十代後半、中年の域に差しかかる男性ならば、同じ読後感を抱くのではないか。作品を二週間前後で書き上げた三十九歳の漱石が、ヒロインに寄せるひそかな思いを行間に読み、共感するからだ。  この作品は、漱石が旧制第五高等学校(熊本市)の英語講師時代に体験した小天(おあま)村(熊本県玉名市)への小旅行を題材にしている。  主人公は漱石を投影した「画工」。那美さんは、画工が宿泊する温泉宿に出戻った美しい女性として登場する。このヒロインが実に魅力的だ。画工が俳句を書き留めた写生帳にこっそり自作の句を書き込んだり、湯船につかっていたら全裸で現れたり、夕暮れの廊下を振り袖姿で何度も往復してみせたり。画工はとっぴな行動に引かれつつ、おろおろするばかりだ。  「私が身を投げて浮いている所を―苦しんで浮いてる所じゃないんです―やすやすと往生して浮いている所を―奇麗(きれい)な画(え)にかいて下さい」  「え?」  「驚いた、驚いた、驚いたでしょう」―。  那美さんにも実在のモデルがいる。孫文らの辛亥革命に深くかかわった女性だった。

本文:2,349文字

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