意外!? 実は[FF]の先駆者!! スバル[1000]の意欲的な挑戦
スバルといえばシンメトリカルAWDを代表とした「4駆」のイメージが強いだろう。しかし、スバルが新時代を切り開いた駆動方式は実はFFなのだ。その歴史背景にはスバル1000というモデルと、等速ジョイントというメカニズムがある。スバルがFFの先駆者である部分を見てみよう。 【画像ギャラリー】あえて新時代の駆動方式で挑戦!!その歴史の端緒から受け継がれてきたスバルFFの系譜(6枚) 文:西川昇吾/写真:スバル ほか
■FFの採用でより広い室内空間を実現
FFの歴史を変えたとも言えるスバル1000が登場したのは1966年のことだ。既に世の中にはFFモデルは登場していたが、まだ一般的といえる状況ではなかった。そんな状況の中、スバルは初めて世に送り出す普通車にFFという駆動方式を採用したのだ。それだけでも意欲的な挑戦に感じられる。 スバル1000はその名の通り、1000cc級のエンジン(977cc)を搭載した小型乗用車で、カローラやサニーなどがライバルとなっていた。 そのライバルたちはまだFR全盛の時代。FFの採用は先進的なことであった。FFレイアウトを採用することで、室内空間を広く確保。これにより1クラス上を思わせるような室内空間を実現していたのだ。
■等速ジョイントがポイント
スバル1000がFFを採用したこと以外に画期的だったことがある。それは等速ジョイントを採用したことが。これが、FF技術の中でも当時最先端のことであった。 駆動と操舵をフロントタイヤで行うFFの場合、ステアリングを切るとこれまでのメカニズムでは振動が大きくなることが多かった。 これが、FFが増えていなかった原因の1つだが、スバルは東洋ベアリングとの協力のもと、等速ジョイントを開発。 この等速ジョイントはダブルオフセットジョイントというもので、回転方向だけでなく伸縮方向にも動くことが可能となっていて、サスペンションの追従性などにより上手く対応することが出来たのだ。 これによりスムーズな操舵性を得たわけだが、東洋ベアリングの存在が無ければ、スバル1000はもちろん、FF車の発展もなかったのかもしれない。 ちなみに、現在ではスバルのアイデンティティとなっている水平対向エンジンも、このスバル1000が初めての採用であった。これは、FFに対応しつつ、優れた走行性能と低振動を実現するための選定であった。