つみたて投資に向いている人、向いていない人。リーマンショックから5年後、明暗を分けた2人の実例
積み立てNISAやiDeCoで取り扱われる投資信託は本来、長期保有するための商品です。 さらに、こうした制度は毎月一定額を買い足し続ける事によって、買い付け価格をばらけさせて、価格の変動リスクを抑える働きをします。 これを投資の用語で、ドルコスト平均法と呼びます。 しかし実際に買付して「長期で保有して毎月一定額を買付する」となると、向き不向きがあることに、証券会社時代の経験を通して気が付きました。 今日は実際にいらっしゃった2人のお客様の経験を通して、積み立てNISAやiDeCoなど「毎月一定額を長期に渡って買付すること」を前提として作られた制度の利用に向いている人と向いていない人を解説したいと思います。
同じ時期に同じ投資信託を買付けた2人の正反対の行動
AさんとBさんは、同じ月に米国株に投資をする投資信託を100万円で買付されました。 しかし、そのすぐ後、リーマンショックによる世界的な株安が起こり、2人の投資信託価格は半分ほどになってしまいました。 ■Aさんの行動 Aさんは大慌てで電話を掛けてきて 「怖いから、すぐ売ってほしい」 と言われました。 Aさんの投資金額は100万円が60万円ほどになってしまいました。 ■Bさんの行動 Bさんの行動は全く逆でした。 「今はリーマンショックで米国株が下がっているけれど、何年か経てば米国の株なら元に戻ると思う」 そう話され、Bさんはリーマンショックで相場がずっと下げ基調の中、少しずつ米国の株の投資信託を買い足しました。
下げ基調の米国株投資信託を買い続けたBさんのその後
2008年の8月に始まったリーマンショックにより、株価は4年ほど低い水準で推移していました。 Bさんが買い付けた投資信託も基準価格は当初の1万円から大きく下がっており、5800円~7000円ほどの水準が続いていました。 それでもBさんは毎月8~10万円で、ずっと買付を続けていました。 そしてその後、5年経った2013年、長かった株価の下落基調が終わり、投資信託の基準価格は1万円に戻り、さらに1万3000円にまで回復しました。 Bさんが5年間でおよそ500万円分買い続けた資産は、基準価格の上昇に伴って評価額が750万円にまでなりました。 反対に、最初の下落で投資信託を早々に手放したAさんはただ損をしただけで終わってしまいました。 2人の明暗を分けたものは何だったのでしょうか。