アサヒ飲料社長「新たな価値を先取り提供することが使命」
アサヒ飲料の米女太一社長は、17日に本社で開催した年末会見で「今年はコロナ禍の一年となった。来年も厳しい環境が続くと予想される一方で、消費者が求める新たな価値は生まれ始めている。その価値を先取りし、商品やサービスとして提供することがメーカーの使命となる。その活動を通じて、業界を活性化していきたい。2021年は『カルピスウォーター』30周年となる。業界にとって明るい材料になることを願い、業界をけん引できるような役割を担えればと思っている」と語った。 同社は今年、「炭酸カテゴリーの強化」を掲げ、日本生まれ、日本育ちの1世紀ブランドの「三ツ矢サイダー」「ウィルキンソン」の強化に取り組んだ。国民に愛される飲料を目指す「三ツ矢サイダー」、強炭酸の“刺激、強め。”という独自価値のさらなる強化を図った「ウィルキンソン」とも同カテゴリーは家庭内需要の拡大もあり、順調な推移となっている。特に「ウィルキンソン」は1~11月の累計で、前年比11%増と13年連続で過去最高の販売数量を更新している。 米女社長は「両ブランドとも、巣ごもり需要での“すっきりしたい”などの爽快感を求める価値が支持されている。特に『ウィルキンソン』は割り材に使用されるなど、飲用需要もさらに高まっており、1Lサイズも好調に推移している」と語る。 また「新価値創造」として、「植物生まれ」という新しい健康価値を提案するカルピス「GREEN CALPIS」など、新たな挑戦も行った。この「GREEN CALPIS」は次の100年の「カルピス」を目指す取組みでもある。同ブランドでは、巣ごもり需要の拡大から「コンク」の汎用(はんよう)性が支持され(かき氷・カレー・菓子など)新たな可能性が広がっている。 加えて同社は、「新たな価値を生み出し続ける」ため「健康」「環境」「地域共創」の三つの軸にプライオリティーを置いて、事業活動を展開した。 「環境」軸でのトピックとして、通販や宅配チャネルなどを中心にタックシールを削減した完全ラベルレスのPETボトルを4月から実現しており、現在は6カテゴリーと展開が進んでいる。「『環境』は今後、世界的に大切なこととなる。個社の健全な競争に加え、業界全体で協業することで解決できる社会課題もあり、『環境』はそれに当たるといえる。今後も積極的に取り組んでいく」(米女社長)意向だ。
日本食糧新聞社