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TVアニメ『進撃の巨人』The Final Seasonへ高まる期待 制作会社MAPPAとの相性を読む

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リアルサウンド

 TVアニメ『進撃の巨人』The Final Seasonでは、第1期から第3期まで制作を手掛けたWIT STUDIOからMAPPAへと制作会社の変更という方針の転換がはかられた。この情報解禁に伴い、進撃ファンの間で期待と不安という相反する感情が巻き起こっている。本稿では最終章にして大きく舵を切った『進撃の巨人』とMAPPAとの相性はいかほどか考察したい。  これまで『進撃の巨人』のアニメーション制作は、『甲鉄城のカバネリ』や『ヴィンランド・サガ』、『恋は雨上がりのように』を代表作に持つWIT STUDIO。荒木哲郎と澤野弘之という『ギルティクラウン』で手を組んだ2人が集結したことでも話題を集めるなか、『進撃の巨人』のアニメでは、立体機動装置における原作以上の細かな設定や戦闘描写の作画に力を入れたことで、ネット上では「作画兵団」という言葉が生まれたほどだった。これには原作者の諫山創も「原作はこっちの方で僕は絵の描けないコミカライズ担当」と語り、WIT STUDIOの高い作画力に注目が集まった(引用:進撃の巨人アニメ開始ッ!!|諫山創ブログ「現在進行中の黒歴史」)。そのため、最終章目前で制作会社の変更が非常に高い関心を持って見られるのは当然といえば当然のように思われる。  このようにThe Final SeasonからはMAPPAが制作を請け負うこととなったが、進撃ファンからは賛否両論が巻き起こった。筆者も含め彼らの最大の関心事は、言うまでもなく作画のクオリティが担保されるのか否か、ということだろう。この点に関して、私は声を上げて「クオリティは確約されている」と言いたい。なぜそう言えるのかについて話を進める前に、前提としてMAPPAという制作会社について紹介しておきたい。  2011年マッドハウスを退職した丸山正雄が設立したMAPPAは2012年に『坂道のアポロン』で初のアニメ制作を飾ると、『ユーリ!!! on ICE』や『賭ケグルイ』、『ドロヘドロ』といった人気作品を次々と手掛け、高いクオリティを誇るアニメ制作会社として評価を受けてきた。中でもMAPPAの名前が大きく知れ渡ることとなったきっかけとなった作品に、2016年に公開されたアニメーション映画『この世界の片隅に』があるのは間違いないだろう。本作は「第40回日本アカデミー賞」最優秀アニメーション作品賞を筆頭に多数の賞を受賞し、素晴らしい興行収益を収めていることでも注目された。比較的新しいアニメ制作会社という点ではWIT STUDIO同様だが、MAPPAはそれ以上に豊富な制作実績を抱えているという点では申し分ない。  このようにMAPPAは歴史は浅いものの、確固たる制作実績に裏付けられた経験値の高さが評価されている。これより先は、もっと掘り下げてMAPPAの過去作品に焦点を絞って、『進撃の巨人』との相性を見ていく。  幅広いジャンルの作品を手掛けてきたMAPPAだが、中でも映像化不可能な作品と言われていた『ドロヘドロ』を3DCGと作画のハイブリッドによって、3DCGの過度な表現を抑えつつ、絶妙なバランス感で混沌とした複雑な背景やキャラクターデザインを描いている。初の3DCGキャラクターベースでの制作となった本作だが、作画に溶け込んだ3DCGの高いクオリティはMAPPAの制作陣の作画力を改めて感じさせられた。『進撃の巨人』The Final Seasonでは、林祐一郎をはじめ、瀬古浩司、岸友洋といった『ドロヘドロ』の主要スタッフがそれぞれ、監督、シリーズ構成、キャラクターデザインを担当することが明かされている。『ドロヘドロ』ですでに作画のクオリティが証明されている制作陣とあれば、『進撃の巨人』の醍醐味である立体機動装置による迫力の戦闘描写を描くことはむしろ歓迎だろう。  また、MAPPAの過去作を見ていくと『残響のテロル』や『どろろ』、『かつて神だった獣たちへ』などダークファンタジー作品、シリアスで繊細な描写を含む作品を多数手掛けてきた。『進撃の巨人』も「巨人」という在存に関してはファンタジー的な要素を多分に含んでいるが、一方でThe Final Seasonでは人類の歴史の反映というシリアスな一面が描かれる。MAPPAにとって実績のあるジャンルの作品であるということはかなり大きい。  それでは実際にMAPPAの手掛けた『進撃の巨人』The Final Seasonはどうだろうか。2020年5月29日にPVを見ると、当然だが大幅に作画が変更されている。第1期~3期の間にも徐々に作画に変化が加えられていたが、変更幅としては段違いといったところだ。WIT STUDIOではアニメ的なデフォルメが施されていたが、MAPPAではキャラクターデザインは原作に寄りながらも、光のコントラストや人間や巨人の繊細な表情などが緻密に描かれ、作画全体の立体感が増幅されている印象だ。というのも人類vs巨人の構図から、最終章からは人類vs人類の構図に変わったことで、作品にリアリティをもたせることを重視した結果であり、MAPPAが過去作で培った作画の高いクオリティにほかならない。加えて、「WITさんや荒木監督に全面協力していただき、ここまで準備を進めてまいりました」と林祐一郎監督がコメントしているように、新旧の制作陣同士で綿密な話し合いが続けられていたことから、本作に対する並々ならぬ意気込みを感じるし、何よりWIT STUDIOの制作陣への敬意の表れが成功を確信する何よりの証左だろう(引用:『進撃の巨人』公式サイトSTAFFコメント)。  WIT STUDIOの意志を引き継ぐこととなったMAPPA。いよいよ最終局面を迎えようとしている『進撃の巨人』の大団円を迎えることができるのか。その答えは最終話まで持ち越すことになってしまうが、私はすでに成功を確信している。

川崎龍也

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