長引くコロナ禍、大学生のオンライン授業も継続中。学生の部屋探しにも影響か
共立メンテナンスが寮で暮らす学生に、オンライン授業などについて調査を行った結果、前期と後期で違いがあるものの、オンライン授業は継続していることが分かった。これからの学生の住まい選びは、自宅でのオンライン授業を意識せざるを得ないようだ。 【今週の住活トピック】 「コロナ禍における授業状況や生活に関するアンケート調査結果」を公表/共立メンテナンス ■2020年度の学生のオンライン授業の比率は、前期と後期で異なる 学生寮で暮らす大学生・専門学校生1813名に、「2020年度、自身が履修していた授業のオンライン比率」を聞いたところ、前期(2020年8月以前)では、ほぼ半数(47.4%)が「全てオンライン」と回答していたが、後期(2020年9月以降)になると、「5割未満がオンライン」が最多の32.1%、次いで「全てオンライン」が21.3%となるなど回答が分散した。後期で比率が下がっている学生が多くなっているとはいえ、オンライン授業はコロナ下で継続していることが分かる。 また、コロナ禍の3大不安は、「将来(就活等)」(50.5%)、「コロナ感染」(50.2%)、「友人と会えない」(49.1%)だったが、新1年生に限ってみると、「授業形態」(48.2%)と「新たな出会いがない」(32.5%)ことへの不安が高いことも分かった。 ■学生は、感染リスクがなくなっても3割程度のオンライン授業を期待 新型コロナウイルス感染の対策として、多くの学校で取り入れたオンライン授業ではあるが、学校サイドでも試行錯誤が続く。そのため、自校の学生にオンライン授業に関する調査を実施した学校も多い。 早稲田大学が2020年8月に実施した調査では、オンライン授業の実施割合はどのくらいが適切か聞いている。感染リスクがある場合では、オンライン授業が「7~9割」が最多の47.6%、次いで「10割」が21.0%となり、7~10割とする回答が68.6%を占めた。一方、感染リスクがなくなった場合では、「1~3割」が最多の46.9%、次いで「4~6割」が19.6%となり、1~6割が66.5%を占めた。 この数値を平均化すると、適切な実施割合は、感染症リスク下ではオンライン授業7割vs.対面授業3割、リスクがなくなった場合ではオンライン授業3割vs.対面授業7割になるという。感染リスクの程度によって適した割合は変わるものの、リスクがなくても全体の3割程度はオンライン授業を継続したいという学生の意向がうかがえる結果だ。 ■メリットとデメリットのあるオンライン授業、部屋探しにも考慮を 次に、国際基督教大学(ICU)が2020年5月に実施した調査結果を見ると、オンライン授業のメリットとして「通学する必要がない」、「感染症への不安が軽減される」、「オンデマンドの授業は自分のスケジュールに合わせて視聴できる」といったことが上位に挙がった。 逆にデメリットとして上位に挙がったのは、「長時間端末の画面を見るので疲れる」、「モチベーションの維持が難しい」、「クラスメートとのディスカッションがやりにくい」などだった。 ほかにも調査結果からは、自宅の通信環境を整えたり、静かな環境を確保するために、同居人や家族に静かにしてもらうなどの工夫をしている様子がうかがえた。中には部屋を借りたり引越したりした学生もいた。オンライン授業を受ける部屋の環境も大きな課題だ。 さて、コロナが収束した後も、そのメリットを活かして、一定の比率でオンライン授業が実施されると見られ、対面授業とオンライン授業の併用が当たり前になるだろう。2019年11月に学生情報センターが実施したひとり暮らしの学生に対する実態調査では、部屋を選ぶ決め手の1位は「学校の近さ」だったが、それから1年後のいま、学生の環境は大きく変わってしまった。この春に部屋探しをする学生は「学校の近さ」と「オンライン授業への配慮」を前提に選ぶことになるだろう。 昨年コロナ前に行われた調査では、学生が部屋を選ぶときの重要項目は「学校の近さ」だったが、オンライン授業が当たり前になると部屋選びの基準も変わるだろう。 学生であるからには、スタディスペースを確保するのはもちろんのこと、Wi-Fiなどの通信環境をチェックすることや、周囲の部屋からの音、外からの音などにも注意して、長時間自室にいても快適な日照や通風、建物の省エネ性なども確認するのがよいだろう。さらには、リフレッシュできる場所があるかなど、街選びも重要になる。 単に、賃料が安い部屋だからとか、イメージの良い街だからとかいったことだけで決めてしまうのではなく、長時間自宅にいてオンライン授業を受けられる環境かどうかも、冷静に見極めてほしい。 2020年度の新1年生にとっては、クラスメートと交流しづらい環境になって孤立感を感じるなど、厳しい一年になってしまった。学生らしい、クラスメートと和気あいあいする姿を取り戻せるように、一日も早い収束を願うばかりだ。
山本久美子