ネイルチップの革命で流行が変わるか?女性社長の思い
女性の社会進出への手助けになれば
しかし、「一代理店」のため、納得できない部分も多々あった。自分の思いがどんどん強くなって、それだったら、自分で作り上げようって、制作したのがジュネルだ。 ──いったい何が違うのですか? 伊與田:3年半前ですが、そこから真剣にジュネルを開発し出した。準備期間の3年半を経てようやく完成しました。何が違うかと言うと、部類的にはつけ爪なんですけど、その装着方法は瞬間接着剤のような、両面テープのようなもの。さらに両面テープの両方にゲル状になった特製のものがついていて、それで装着する。今、現状あるものは、お湯につけてしばらく置いたら外すとか、ひと手間、面倒臭い。ですが、こちらのジュネルは弊社が開発したオリジナルのコネクターというものがあって、それを爪の形に合わせて張る。つけ爪をぺたんと載せると、チップとコネクターがひっついてはがれない。外す時はある一定の方向にスライドさせる。コネクターが残りますので、何回も使えるし、すごく便利なもの。これは粘着剤なので、粘着性は弱まるんですが、水洗いなどで、汚れを落として頂いたら、また粘着性が戻る。これができたことによって、ネイル好きなのにお仕事柄ネイルができない方、例えば看護師さんだとか、飲食店の女性とか、その方々の割合が今はまだ統計的に多いんですが、これまで諦めていた方も、このジュネルを使えば好きな時(オフの時)にお洒落ができるということです。 また、全国展開するアカデミー(ジュネリスト養成スクール)で研修を受けて資格を取れば、誰でも販売、開業することができる。すでに1000人の販売員が育っている。プロフェッショナルを養成する一方で、「仕事の機会を与えることで、女性の社会進出への手助けになれば」と、伊與田社長は考えている。
ネイル業界の現状は?
──ネイル業界の現状を教えて下さい。 伊與田:ネイルというと、ネイルサロン、ジェルネイルなど、いろいろお店ができていて、近くにできると、(競合店の)値段が少し安かったり、どっちも安くしたり、どんどん価格破壊が進んできている。お店をしても儲からない、と言う状況に陥っているようです。ただ、ジュネルはこれまでネイルができなかった方にどうぞという商材なあので、競争にならないんです。 小川会長も「折れない、割れない、そして透明のチップを使って、この上にネイリストさんたちが手作業で作品を作っている、1点1点味がある。機械で生産しているわけではない、まったく新しいものです。“流行が変わる瞬間(とき)”というキャッチコピーで、どんどん広げていきます。ネイルは万国共通で、日本人の技術は凄く高い。日本だけでなく、ヨーロッパであったり、欧米であったり、日本の技術がきっと世界に広がっていくと思います」と、将来性の豊かさを見据えている。 小川会長とは以前から知り合いで、今回、わざわざ駆けつけたフィリッポ・グッチ氏もこのネイルチップに興味を持ち、通訳を通してこう話す。 「イタリアではネイルは塗っている状態です。日本は素晴らしい、びっくりした。最初はわからなかったけど、初めて見ていいものだと思いました。このアイデアは珍しいし、ここから派生するビジネスも出てくる」 世界を視野に入れた「ジュネル」の今後の展開が注目される。 (文責/フリーライター・北代靖典)