「民主主義はまだ不完全」―GLAY・TAKUROさん
沈む夕日と昇る朝日を見たら、なんとなく気が前向きになる
――TAKUROさんが今、悩みながらも、いかにして「音楽」で皆の心を救おうかと必死に考えている気持ちが伝わってきました。まさしく「ニューノーマル時代」と言われるように、この1年で世の中は大きく変わりました。その中で激しい「変化」にまだまだついていけないと感じている方も多くいることと思います。 TAKUROさん: もし今、自分の将来や人間関係で悩みを抱えている人がいるとするならば、ぜひ今だからこそ「自然とともに暮らしてみたら」と言ってあげたいです。それは別に郊外に暮らすという意味ではなくて、誰もいない海に1日いるでもいいし、今はやっているキャンプみたいなものでテクノロジーから離れてみるでもいい。「一切連絡を取らない日が1日ぐらいあったっていいじゃない」と。考えてみたら「1日中、誰とも連絡を取らない日」ってあるかなといったら、なかなかないですよね。 常に情報や人は追っかけてくる。すごいロックミュージシャンらしいセンチメンタルなことを言うと「沈む夕日と昇る朝日を見たら、なんとなく気が前向きになる」ような気がするんですけどね(笑)。なぜならば、もう何憶年前からその光景は変わっていないということに気づくんですよ、そこで。僕自身は自分が迷った時に、目を凝らしてみると本当に人間関係が原因であることが多いんです。なので、人間関係を1回絶つことによって、「何が問題点か」ということを一人で自然の中で考えたりしていますね。
過去に生まれた優しいメロディーをもう1回ちゃんと送り出す
――コロナ禍の中でTAKUROさんは「やっぱりGLAYがやりたい」と改めて強く感じたと言います。TAKUROさんにとってのGLAYとは、シンプルに「練習をして、その成果をライブで見てもらう」こと。最後に、今年の音楽活動をする上で、今取り組んでいることについて聞いてみました。 TAKUROさん: 年末に向けてアルバム制作をしています。今回、レコーディングの準備の時間がたくさんあったということもあって、昔のデモテープも含めて今までの未発表曲を聞いてみたんです。詩の断片、フレーズの断片まで全部聞いた時に、当時なんでこの曲を出さなかったかという理由も、今ならわかることがいっぱいある。「あ、この曲はクオリティーが低いから90年代にリリースされなかったんじゃなくて、2021年にリリースされるために待ってたんだな」と。今僕らが50歳手前になって、デビューしてから26年を過ぎたバンドがやることは「過去に生まれたその優しいメロディーを、もう1回この世の中に合わせてちゃんと送り出してやる」ことだと思います。そういう意味でも、今自分たちの周りに流れているその音楽の雰囲気はやっぱり地続きで、あの頃のGLAYにもあったもの。今ならこのメロディーの長所短所、善し悪しにまっすぐ向き合ってくれる時代なのかもしれないと思うんです。