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クマと人間の不幸な「接触」、事故はなぜなくならない?

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ナショナル ジオグラフィック日本版

野生動物の中でも人気のクマだが、過度な接触が悲劇を生むことを忘れてはいけない

 クマには不思議な魅力がある。自然の中でクマと遭遇すれば、カメラで撮影したくなるだろう。しかし、クマが体重200キロを超える最上位捕食者であることを忘れてはいけない。人間は近づいてはならない存在なのだ。 ギャラリー:クマと接触する人々 今なら目を疑う写真9点  とはいえ、この記事で紹介する古い写真や、最近ではアメリカクロクマににおいを嗅がれながらじっと立っている女性を映した動画がSNSで話題になっていることを考えれば、クマと出合ったときの原則は浸透していないと言える。  夏は、米国の国立公園がもっともにぎわう季節だ。今年は新型コロナウイルスでロックダウンが発動されたこともあり、外に出られなかった人々が旅先に国立公園を選ぶケースも多い。マスクの着用、ソーシャルディスタンスだけでなく、国立公園では野生動物との距離が近くなることを覚えておきたい。野生動物とたまたま接触してしまうこともあるが、意図的に野生動物に手を出して招いてしまう不幸もある。実際、イエローストーン国立公園では、バイソンに幾度も近づいた72歳の女性が角で突かれる事故が起きている。しかも、この事故は2020年5月に公園が再開してから2度目のものだった。  ところで先述のSNSで拡散した動画は、メキシコ北部のチピンケ自然公園で撮影されたものだという。不用意にクマに近づいた結果なのか、ハイキング中に偶然クマに出合ったのかまでは分からない。野生動物に遭遇しても安全にやり過ごす方法があり、また野生動物との不幸な事故は昔から起きているのに、クマを避けようとしない人がいるのはなぜなのだろうか。

繰り返されてきた過ち

 米国の国立公園局(NPS)は1916年に設立された。それから約50年は、ルールや取り締まりが厳しくなかったため、訪問者は公園内のクマに近づいて触れあうこともあった。  米グレイシャー国立公園の野生生物学者であるジョン・ウォーラー氏はこう話す。「レンジャーは見て見ぬ振りをしていたのでしょう。1960年代まで、この国立公園の醍醐味は、道路にエサをもらいにくるアメリカクロクマを観察できることでした。もちろん、けがをする人も多かったのです」  1930年代ごろには、NPSはすでに野生動物にエサをやることの危険性を認識していた。それなのに、なぜ危険な行動は容認されていたのだろうか。

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