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ひきこもりの事実に捕らわれず、そこに至ったストーリーを聞いて  経験者が語る唯一無二の言葉から得られる“社会復帰へのヒント”

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 ひきこもりが社会課題となって久しいが、私たちは当事者の視点から理解しているだろうか。ひきこもり体験者や支援者の生の声から考えようと、千葉県我孫子市で市民活動を支える施設「あびこ市民活動ステーション」は、2019年1月と12月に市民活動団体、福祉関係者、行政と協働し、「子ども応援団事業 生きづらさからの大脱出」というシンポジウムを開催した。そこから浮かび上がったのは、ひきこもりの状態を問題視するのではなく、そこに至った1人1人の独自なストーリーに耳を傾けること、家族を開く第三者の存在が大切ということだ。

子どものSOSソングライター

 講師の1人は音楽活動をしている悠々ホルンさん(33)。複雑な家庭環境で小学生の時から生きづらさを抱え、高校時代に部屋にひきこもり、音楽だけを頼りにつらさに耐える10代を送った。20歳ごろからインターネット上で自作の演奏を公開するようになると、応援メールや悩み相談が届くようになった。ホルンさんはこれまでに7,000人を超える人から相談を受け、当事者の言葉が親や周囲に伝わりにくいことを痛感し、当人の気持ちを音楽にして発信する子どものSOSソングライターとなった。  ホルンさんによれば、「大抵の人は、ひきこもりは怠惰であると本人の態度を問題視するけれど、ひきこもるまでの過程や家庭環境に生きる気力を失う問題がいくつも隠れている。そのことに気付いた時、当事者は長らく問題に苦しんできた人だということが理解できる」のだという。 一歩踏み出すためのポイントは、ひきこもりを「必要な時間だった」と考えることだという。「周りも本人も否定的に考えがちだが、ひきこもらなかったら心や体が限界を超えていたという見方も大事」とホルンさんは話す。

ひきこもりのそれぞれのストーリー

 ゆうさん(仮名=33)は、家庭の都合で高校を中途退学したことをきっかけに、10年間外部と接触せずに暮らしていた。ゆうさんをサポートし続けている栗原祐子さん(61)は就労継続支援B型事業所みんなの広場「風」の施設長であり、民生委員・児童委員も務めている。近所に引っ越してきたゆうさんが気になり、支援情報や連絡先をポスティングし続けた。その根気強さに心を動かされ、ゆうさんは「風」の扉を叩いた。今では、栗原さんはゆうさんにとって「母親以上の存在」だという。 ゆうさんは、「もう一回学びたい」という気持ちに気づき、栗原さんから紹介された無料学習支援教室、我孫子自主夜間中学あびこプラス・ワンを経て公立高校夜間部に進み、昨年3月に卒業し就職した。学ぶことで、将来に目線を向けることができた。 栗原さんは、「ひきこもりの人それぞれにストーリーがあって、個性があります。これまで関わったどの人も一生懸命に生きています。一口にひきこもりという型で押したようなものがあるわけではないのです」と話す。

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