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『バック・トゥ・ザ・フューチャー Part2』ロバートゼメキスが「チキン!」に込めた自戒の念とは

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CINEMORE

ちょっとした「オマケ」から続編に!

 公開時に特大ヒットを飛ばした『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)。ビデオリリース時に監督のロバート・ゼメキスはちょっとしたオマケを加えた。映画のラスト。未来から戻ってきたドクはマーティとジェニファーを連れ、デロリアンに乗り、空を飛んでまたもや“未来へ戻って”いく。暗転した画面に大きくこう出る。  「TO BE CONTINUED…(つづく)」  危機また危機の展開から、かつての連続活劇映画を匂わせたかったのだろう。キレイにオチのついた映画に「つづく」の文字は、なんとも遊び心に溢れたジョークのように思えた。しかし、そんな遊び心が通じない人種がいた。スタジオのプロデューサーである。  「つづく」と言うなら続きはあるんだろうな! 観客も観る気マンマンだぞ! 無いなんて聞かないぞ! 作る気が無いんなら別のスタッフで作ってやる!  そう挑発されたロバート・ゼメキス。彼にとって『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は念願がようやく叶った作品で、思い入れも強かった。また難産でもあったため「あとはどうぞご勝手に」といった気持ちにもなれなかった。自分の預かり知らないところで勝手に続編が作られて“シリーズ”の評価が落ちるなんてのは悪夢だった。  ゼメキスはプロデューサーの挑発にまんまと乗り。すでに『ロジャーラビット』(88)の制作に入っていたにも拘らず、その激務の合間を縫って『バック・トゥ・ザ・フューチャー Part.2』(89)の制作に入ったのであった。

影響を受けた現在の映画たち

 『バック・トゥ・ザ・フューチャーPart.2』はパート1のラストから始まる。未来へ戻ったドク、マーティ、ジェニファーの乗った空飛ぶデロリアン。そして、それを発見してしまうビフ。ここから過去と現在、別の現在、未来を行き来する大騒動となる。  本作の白眉は傑作であるパート1を、1作まるごと“前フリ”にした贅沢かつ緻密な脚本だ。  「もしも、もう一人の“自分”に会ったらビックリして気絶するか、パラドックスを起こし宇宙を崩壊させるか!」ドクがマーティをこう脅すのだが、実際には既に公開している映画(パート1)の内容は変更できないことを念押ししているワケだ。その上で、ビフから気づかれないようにスポーツ年鑑を奪わなければならないという“縛り”にもなっている。  この“縛り”によって、パート2のマーティたちはパート1には“映っていない”場所や角度での行動を余儀なくされる。これは『カメラを止めるな!』(18)の前半/後半と同じ構造だ。  また、確定している作品を壊さないように、その裏側で別の物語を進めるという点では『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)と、1作目『アベンジャーズ』(12)『マイティ・ソー/ダークワールド』(13)などの関係とも同じである。

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