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『半沢』『わたナギ』も成功 ドラマに対する「原作潰し」の批判が減ったワケ

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現代ビジネス

かつては活発だった「原作ファン」からの批判

 コロナ禍に翻弄された各局のドラマが次々に最終話を迎えているが、ネット上の声はその大半を称賛が占め、批判は意外なほど少ない。「ロス」を嘆く声が飛び交う一方、これまで当たり前のようにあった結末への不満がほとんど見られないのだ。 【写真】芸能人が「クスリとセックス」に溺れるまでの全真相  その理由を考える上でヒントになりそうなのは、ヒット作となった『半沢直樹』(TBS系)、『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)を筆頭に、「原作潰し」という批判がほとんど見られないこと。2000年代は小説や漫画が実写化されるたびに「原作潰し」と批判を受けるケースが増え、次第に放送前の段階から「今すぐ放送をやめろ」「絶対に見ない」「低視聴率確定」などのネガティブキャンペーンが活発になっていた。  なかには強烈な怒りを感じさせる「原作レイプ」なんて過激な声が目立った時期もあり、制作者サイドを委縮させていただけに、今夏のポジティブなムードは明らかな変化を感じさせられる。つまり、「ドラマ版が原作ファンたちを納得させた」ということであり、それが高い視聴率や満足感につながったのは間違いないだろう。  制作サイドはどのように原作ファンたちを納得させたのか。それを掘り下げていくと、作り手たちの意識改革が見えてくる。

「半沢直樹と大和田暁の共闘」が象徴

 原作ファンたちを納得させ、「原作潰し」の批判を生まなかった最大の理由は、「制作サイドが勇気をもってドラマオリジナルの物語を挿入した」から。とりわけ結末の思い切った脚色は見事に実を結んでいる。  たとえば『半沢直樹』は、原作には登場しない大和田暁(香川照之)や黒崎駿一(片岡愛之助)を前作から続投。しかも登場させるだけでお茶を濁すのではなく、強烈なセリフを連発するほか、第1部のクライマックスでは半沢直樹(堺雅人)とまさかの共闘を見せた。  宿敵の共闘は批判と表裏一体であり、まさにハイリスク・ハイリターンの戦略。27日放送の最終話も、原作とは異なる結末を迎えることが確実視されているだけに、原作ファンの注目度は高い。  『私の家政婦ナギサさん』は、鴫野ナギサ(大森南朋)を無口な職人肌系から穏やかな癒し系に変え、オリジナルキャラクターの田所優太(瀬戸康史)を登場させて恋模様を盛り上げ、さらに原作のプロポーズはナギサからだったが、ドラマ版は相原メイ(多部未華子)からに変更していた。  その他でも、『竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ、フジテレビ系)は、原作者・白川道氏が亡くなったため小説は未完だが、オリジナルのエピソードで最終話まできっちり描き、復讐劇と愛憎劇を完結。『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)は、原作の韓国映画から大きく飛躍して、大半をオリジナルエピソードで埋め、結末も独自の形だった。  また、現在放送中の『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)も、原作とは異なるドラマオリジナルの結末となることを発表済み。さらに今冬を振り返ってみても、最大のヒット作となった『テセウスの船』(TBS系)は原作漫画と異なる黒幕を用意していた。  こうして各作品を見ていくと、制作サイドが原作からの大胆な脚色をいとわず、ドラマオリジナルの要素を濃くしていることがわかるだろう。その傾向の中心にいるのは、今年に入って絶好調が続いているTBS。各作品のプロデューサーが、「原作の良さを損なうことなく、ドラマ版ならではの魅力を加える」「原作者の理解をしっかり得つつ、原作ファンの興味を引く」という抜け目ない仕事を見せている。

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