「イルカが人を噛む」福井県海水浴場で被害者16名 「大人の膝くらいまで来る」危険実態を現地海保職員が解説
福井県・敦賀(つるが)半島の海水浴場で、遊泳客が野生イルカに体の一部を噛まれるという事故が頻発している。8月14日にも20代の男性会社員3名がイルカに襲われ、今夏の被害者は16名にまで増えている。被害者の中には、50針以上縫う怪我をした60代の男性や、手の指を20~30針縫う怪我を負った小学生もいることが報じられている。 ■【画像】「イルカが人を噛む」口には鋭い歯が…敦賀海上保安部が呼びかける「注意!!」ビジュアル■ イルカといえば、一緒に泳ぐことで心身機能の改善を図る“ドルフィンセラピー”でも活躍する動物。“癒やし”のイメージも強いが、小さな子どもも遊ぶ海水浴場で噛まれるかもしれないとなると恐ろしくなってくる。事故現場となっているエリアを管轄する、敦賀海上保安部の担当者に海水浴場でイルカに遭遇した際の注意点や対策を聞いた。 保安部の担当者によれば、福井県の海水浴場にイルカが姿を見せ始めたのは2022年のことだという。これまでの出没エリアを語る。 「もともと日本海に野生のイルカはいるものなんです。ただ基本的に群れで行動するので、今回のようにイルカが浅瀬を動くのはちょっと珍しい。また、なぜ福井の海水浴場に姿を見せるようになったかも不明です」(敦賀海上保安部の担当者) 最初に被害が確認できたは県の北部にある鷹巣海水浴場の近辺だったという。 「23年に南の敦賀まで降りてきて、この年は北と南で合計5名の方がイルカの被害でケガをしています。ところが今年は敦賀半島だけで13名という状態で……」(前同) なぜ敦賀に集中しているのかも謎だそうで、担当者は「イルカに聞いてみないと……」と首を傾げる。
■イルカの姿を見つけても「なでちゃダメ」
イルカに噛まれる事故は浅瀬でも報告されているのだが、実際に海水浴場ではどのぐらいの深さまでイルカは泳いでくるものなのか。また、狙う相手に特長はあるのか。前出の敦賀海上保安部の担当者が説明する。 「1mから2m、なかには大人の膝ぐらいの深さまでならやって来るケースもあります。イルカにしてみればじゃれて人間を甘噛みをしているだけかもしれませんが、体長は2~3mもあり、時速40~50kmで泳ぐ動物です。人間にしたら軽トラックに突進されているようなものです。 動きも早いので、イルカが向こうにいるよと言われて“どこ?”と辺りを見回したらもうすぐそばにいた、ということもあります。噛む相手については老若男女問わず、今のところ目立った共通点はありません」 遭遇したらどういう対処をするのが正解なのか。 「触らないことです。泳いでいる時にイルカを見つけ、背びれなどをなでていた男性が噛まれる事故も起きています。距離をとって早めに海から上がるしかありません。また、“人間=良い人”だと思わせないように、エサは絶対にあげないでください」(前同) 気づかないうちに、イルカが音もなく近づいてくる場合もある。敦賀海上保安部の担当者は、「泳ぐ時は、監視員さんがいて、アナウンス設備があるような海水浴場内で」と呼びかける。 「自分だけではイルカの存在になかなか気づきにくいものです。監視員さんがいれば、もし(背びれなどで)イルカの姿が確認できれば、海から上がるようにアナウンスをしてもらえます。今現在は噛まれてもケガで済んでいますが、それ以上の事故にならないとも限りません。絶対に触らない、姿が確認できたら海からすぐに上がる、エサはやらないという3点を守っていただけたらと思います」(同) 可愛い見た目のイルカだが、鋭い歯は持っているということだ。
ピンズバNEWS編集部