不動産情報サイトには載らない「限界ニュータウン」の楽しみ方。0円でも買い手がつかない利便性最悪の"超郊外型物件"を探せ!
――吉川さんは独自の手段で一戸建てや5000円の別荘、自宅近隣の土地、さらには私道まで購入しています。ただ、吉川さんのようにブログやYouTubeで情報発信するわけではない一般人にはハードルが高そう。ズバリ、限界ニュータウンや分譲地の購入に向いていない人は? 吉川 まず、家族で住みたい!と思っている人は無理ですね。学校が遠く、高校へ通うようになると親が毎日駅まで送迎する必要があります。近所に友達もいないし、イオンモールもありません。あと、お酒好きで飲みに行きたいって人も無理。そもそも店もありませんから(笑)。 ――逆に限界ニュータウン暮らしを楽しめる人は? 吉川 例えば、クルマが趣味ならガレージとかも造れますし、オーディオやDJだって夜中に音楽を鳴らしても苦情が来ることはありません。深夜に洗濯機をガンガン回しても大丈夫です。 あと、DIYが趣味って人も向いてますね。やはり、住宅そのものがボロボロであっても、それを自力でリフォームすることを楽しめると思います。 友人もリフォームが趣味で、僕の家を無償で直してくれています。失敗しても問題ないので、新しいリフォーム技術を試せるんですよ。スローライフとして草刈りなどの庭仕事、畑仕事を楽しみたい人にもオススメです。ただ、僕自身は趣味もないし、庭仕事だって好きじゃないんですよ。 ――じゃあ、なんで限界ニュータウン住みなんですか? 吉川 僕、高校時代からバックパッカーみたいなことをやってて、就職も進学もせずにいたら実家を追い出されちゃったんですよ。こんな人はもう、普通の出世街道は歩めないじゃないですか。その結果が限界ニュータウンなんですよ。人として300万円ぐらいの家を買うのが精いっぱいですから(笑)。 ――いやいや! でも最近は社会問題に切り込むジャーナリスト、ノンフィクション作家としてメディアに露出していますよね。 吉川 全然そんなんじゃないんですって! 大学で講演をしたら「どこの新聞社に勤めてたんですか?」って聞かれましたけど、そもそも大学すら行ってませんから。ただ、調べ事をするのが楽しくって、それで限界ニュータウンや分譲地を掘り下げて取材していったら、こんなふうになっちゃっただけなんですよ。 ――最近はYouTuberとしても活躍していますよね。 吉川 取材して文章をブログにアップするか、動画にするかでいったら、圧倒的に文字が好きですよ。でも、収益はYouTubeのほうが全然上。なので、生活のために動画の比率が増えてますが、取材の労力は一緒なんですよ。 ――最後にお聞きします。限界ニュータウンを取材していて変化を感じることは? 吉川 限界ニュータウンは家の価格が安いので、一般的な不動産業者がビジネスとして中古住宅の売買を行なうのは厳しい物件です。 その一方、これまで草が生い茂っていた限界分譲地には新築の家が増えてきました。現在、不動産ブームで物件価格が上昇しており、結局その価格を削りやすいのは土地代なんですよね。 ただし、近所の人が「もう15年ぐらい誰も住んでないよ」って言うボロボロの空き家も、登記簿を調べてみると4、5回は所有者が変わってるんです。つまり、「いい投資物件、ありますよ!」と悪徳不動産業者にそそのかされて買っちゃう人もまだいるんですよ。 なんか、昭和・平成の不動産ブームと同じ土地で同じことが繰り返されつつあるのかなと感じています。 ――趣味人にはオススメの限界ニュータウンですが、投資目的の購入はダメ絶対です! 取材・文・撮影/直井裕太 写真/吉川祐介