抗議デモ続くジョージアで大統領選、元サッカー選手の親ロシア候補を選出…現職が退任拒否し混乱拍車
ロシアに融和的な与党「ジョージアの夢」に対する抗議デモが続く旧ソ連構成国ジョージアで14日、国会議員らの投票で決める大統領選が行われ、ロイター通信によると、唯一の候補だった与党系のミハイル・カベラシビリ氏が選出された。親欧米派の現職サロメ・ズラビシビリ大統領は選挙の合法性を認めず退任を拒否しており、混乱に拍車がかかりそうだ。
元サッカー選手のカベラシビリ氏は「欧米がジョージアをロシアとの戦争に巻き込もうとしている」と主張するなど反欧米の姿勢で知られる。大統領選はこれまで有権者による直接選挙だったが、今回から国会議員らによる間接選挙となった。親欧米派の野党はボイコットした。
ズラビシビリ氏は13日、「この国には今、正統性のある代表が必要だ。私は職にとどまる」とX(旧ツイッター)で声明を発表し、新大統領就任式が行われる29日以降も退任しない意向を改めて示した。ズラビシビリ氏は与党が勝利した10月の議会選でなりすましの投票や買収などの不正があったとして、選挙のやり直しを与党に求めている。欧州議会も再実施が必要との立場だ。野党連合は12日、「ズラビシビリ氏が唯一の正統な大統領だ」との声明を発表した。
ただ、ロイター通信は、ジョージアの憲法裁判所は3日、議会選を無効だとするズラビシビリ氏の訴えを棄却し、与党も選挙不正を否定していると報じた。独公共放送ドイチェ・ウェレによると、与党はズラビシビリ氏に対し、新大統領就任式までに官邸を退去するよう警告した。
首都トビリシの議会前では議会選後、与党に対する抗議デモが続く。与党出身のイラクリ・コバヒゼ首相が11月、欧州連合(EU)加盟交渉の停止を発表すると、デモが激化した。治安当局は催涙ガスなどを使って鎮圧を図り、EUによると400人以上が拘束され、約300人が負傷した。