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コロナ疲れ 家庭に打撃 休業・休校の長期化 子ども、保護者にもストレスに

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沖縄タイムス

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。沖縄タイムスなどが実施した県民アンケートでは、新型ウイルスへの恐れや長期にわたる休業・休校が、県内の子育て世帯にも深刻な打撃を与えている状況が浮き彫りとなった。インターネットを通して、小中高生と保護者合わせて約7400人が回答。暮らしを維持できないとの切迫した訴え、学校再開を待ちわびる声とともに、学習の遅れや友達との関係構築に不安を抱く子どもたちの思いも届いた。調査結果の詳細や、関わった研究者の論考を紹介する。 この記事の他の写真・図を見る アンケートの結果はこちらから。  ■子ども 【休校中の困り事】 友だちと会えない  休校や外出自粛による困り事について尋ねたところ(複数回答)、小学生は「友だちと会えない」(72.8%)、「外出したり遊んだりできない」(65.8%)との答えが多く、友達との交流や外遊びの制限にストレスを感じている様子だった。自身のイライラや家族のイライラが多くなったという回答も中・高校生より目立った。  中学生は「友だちと会えない」「就寝・起床時間が遅くなった」との回答が同率の63.2%で最も高く、勉強の遅れや運動ができないことを困り事とした割合が小学生や高校生と比べて顕著だった。  高校生は友達との関わりやイライラの割合が小・中学生より低い一方で、「卒業後の進路」(36.3%)、「アルバイトができない」(21.9%)、「父や母の仕事が少なくなった」(12.9%)は高く、自分の将来や経済的不安を抱えている状況がうかがえる。 【勉強での困り事】 気持ちが乗らない  休校中、勉強での困り事を聞くと「勉強する気持ちになれない」が小中高生いずれも50%を超えた。目標が定まらず、学習意欲が下がっている状況が浮かぶ。  高校生は「家で勉強できない」「家以外で勉強できる所(塾や図書館など)が閉まっている」「学校からの宿題を教えてくれる人がいない」の割合が小・中学生より高く、外出自粛中の家庭学習により難しさを感じているようだ。  中学生も「宿題が難しい」との回答が36.5%あり、学習の遅れに不安を抱いている。「家にインターネットやパソコンがなく、ウェブ教材が使えない」は回答者全体の5.6%と低かった。  ■保護者 【必要だと思うサポート】 公的な手当の増額  「保護者のために必要だと思うサポート」として、全体の5割以上が「児童手当や児童扶養手当などの増額」と答え、直接的な現金給付を必要とする人の多さが目立った。子どもが幼いほど割合が高く、高校生の保護者の回答も43.8%に上った。  子どもの年齢が低いほど「保育料の負担軽減」(0~2歳49.3%)、「子どもを見てくれる場所」(同46.7%)を求める保護者の割合が高かった。  一方、子どもの年齢が上がるにつれて「学校でかかる経費の負担軽減」(高校生54.3%)、「就学援助や奨学金など、学校生活に関する支援制度の情報提供」(同36.1%)を求める保護者の割合が増え、子の年代別に支援のニーズが異なることが分かる。 【ストレスや不安】 家事 母の負担感顕著  「ストレスや不安に感じていること」を聞いた項目では、「家事負担の増加」と答えた母親が52.8%だったのに対し、父親は20.0%と2倍以上の開きがあり、男女差が顕著に表れた。自粛生活が続く中、家庭内での家事負担が女性に偏って増えているといえる。  ほか、「新型コロナウイルスへの感染」を挙げた人は母親76.3%、父親71.2%で、男女ともに最も多かった。次いで「自由に外出できない」が全体の約6割に上り、「世帯の経済状況」「マスクなどの衛生用品や日用品の購入が困難」も全体で4割を超えた。 【収入減少】 低所得世帯ほど深刻  「どれくらい収入が減ったか」との質問には、「5割以上減った」「まったくなくなった」と答えた保護者の割合が計22.9%となった。所得層別に見ると、昨年1年間の手取り所得が600万円以上の世帯は「5割以上減った」が7%、「まったくなくなった」が5%に対し、200万円未満の世帯では、それぞれ22.2%、18.8%と約3倍の開きがあった。もともと所得が低い世帯で、生活がより厳しさを増していることが分かる。  ひとり親世帯では、収入が「まったくなくなった」と答えた割合はふたり親世帯と比べ、約2倍多い。非正規など不安定な雇用状況にあるひとり親への影響の大きさが明らかとなった。  制度の広報に力注いで 沖縄大学 島村聡教授  新型コロナウイルス感染拡大への対応を巡り、国の感度の低さに驚く。まるで夫は大手企業の正職員、妻は専業主婦という過去の世帯の暮らしをイメージしたかのような施策が目に付く。非正規職員が4割を占め収入が低いために共働きをして、子どもを預けざるを得ない沖縄の状況に想像が及んでいないのだろう。  休業を要請することで多くの非正規職員が調整弁となり職を失うこと。新型コロナの影響が落ち着いてもすぐに再スタートを切ることができないこと。断腸の思いで職員の整理をしなければならない零細事業者の心情など、全く理解できていない。家賃補助を目的とした国の2次補正を待っていると、その前に倒れてしまう事業者が続出してしまう。  非正規職員に対し「自ら非正規を選んだ」という自己責任論も巻き起こっているが、それは大きな誤解であり、危険な捉え方だ。中小零細企業が多い沖縄では特に、正規職の受け皿がそもそも限られている現実があり、強者の論理で成り立った経済合理主義にこそ問題がある。  働く人々の命を守るために、全国すべての人に一律10万円を配る特別定額給付金の給付を窓口の大幅な増強により急ぎ、社会福祉協議会の緊急小口資金が郵送で申請が可能であることや総合資金の活用で最大80万円ほどの資金が得られることを広く周知することが必要だ。  住宅確保給付金による家賃助成への県独自の上乗せ、売り上げが落ちた県内の飲食業や小売業に支援金などを支給する「うちなーんちゅ応援プロジェクト」の存在もとても見えづらい。支援が届かなくてはせっかくの制度が死んでしまう。広報には相当の力を入れるべきだろう。  制度の列記は理解が進まない。障がいのある人や高齢者にも分かりやすく、どの事案にどの制度がどう使えるという整理をした情報提供を行うべきだ。  感染症対策による長期休校で、子どもたちには学習面で大きなハンディを背負わせてしまうことになるが、これを焦って取り戻すようなことはしてはならない。学習から置いてきぼりを食う子どもを増やし格差の拡大を生むだけである。  今回の経験をプラスに変えるため、世の中で生活する多様な人々の暮らしに目を向け優しいまなざしを持てるような教育が必要だ。将来を担う子どもたちが包摂的社会で育つ存在となるよう、大人の対応が問われている。(社会福祉)  県内7383人から回答   県内に住む小学1年~高校3年生と保護者を対象にしたインターネット調査は、5月1~8日に実施した。  回収した保護者6133人、子ども1583人のうち、有効回答数は保護者5943人、子ども1440人(小学生555人、中学生345人、高校生512人、その他28人)の計7383人。保護者の属性は母親79.1%、父親19.1%。年齢は40代が50.7%で最も多く、30代34.5%、50代10.2%の順で続いた。  昨年1年間の手取り所得は200万~400万円未満が33.1%で最多、次いで400万~600万円未満26.5%。世帯構成はふたり親(親と子のみ、祖父母などと同居)が75.6%、ひとり親(同)が21.7%だった。 【実施主体】  沖縄大学(地域研究所・島村聡所長、山野良一副所長、健康栄養学部・我那覇ゆりか氏)、NPO法人県学童・保育支援センター(二宮千賀子氏)、沖縄タイムス社

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