2年ぶり金沢で開催 バドミントン S/Jリーグ 元日本代表・下農走(金沢学院クラブ)の思い
北陸朝日放送
バドミントンの国内最高峰・S/Jリーグ公式戦が、12月8日に金沢市で開かれます。 金沢市での開催は2年ぶりとなりますが、地元・金沢学院クラブで注目を集めるのが、下農走(しもの はしる)選手です。 この春、トナミ運輸から金沢学院クラブに移籍してきた元日本代表のダブルス選手、その思いに迫ります。 金沢学院大の体育館です。大学の女子バドミントン部が練習する一角で黙々とゲーム練習に取り組む、男子選手たちが、実業団チーム・金沢学院クラブの選手たちです。 自らを追い込むかのように、全力でスマッシュを打ち込んでいた選手が、下農走選手です。 大阪府出身の27歳。2013年から日本代表メンバーとして国際大会に出場し、2020年にはエストニアISで優勝! サウスポーから繰り出すミスのない的確なストローク、なかでも強烈なスマッシュを最大の武器に、世界の舞台で、シングルス・ダブルス、幅広い活躍を見せてきました。 下農選手は、高校卒業後、国内トップの強豪・トナミ運輸に所属してきましたが、この春に退社。金沢学院クラブに移籍しました。 今年の石川県団体総合ではチームを優勝に導き、全日本実業団でもベスト8進出に貢献しました。 下農選手:トナミにいる以上は世界を相手にというか、世界に向けてやらないといけないというのがある中で、日本代表というのがなかなか厳しい道のりというか…なかなか厳しくて。 S/Jリーグは、世界ランキング上位の選手も多く参戦し、国内トップの実業団チームが争うリーグです。 中でもトナミ運輸は、過去5シーズンで優勝4回、準優勝1回と別格の存在。 日本代表争い、そしてチーム内のレギュラー争いの中で、自らの力の限界を感じたと、素直に語る下農選手。そうした中、金沢学院クラブへの移籍が決まりました。 下農選手:(金沢学院)大学の方でダブルスのコーチがいないということで、そういうタイミングというのはすごく大事かなという思いもあったので、そういう部分で移籍を決めました。 高校卒業後、すぐに社会人チームに入ったこともあり、将来に不安を感じていた中で、金沢学院クラブから声がかかったといいます。 与えられた使命は、指導者として金沢学院大バドミントン部の強化をしながら、実業団選手として、金沢学院クラブを勝たせることです。 金沢学院大に職員として就職し、夕方からは大学の部活のコーチをしています。 金沢学院大バドミントン部は、団体で2年連続インカレベスト8の成績を残すなど、国内トップクラスの強豪です。それでも、世界のトップで戦ってきた下農選手には、もどかしい面もあるといいます。 下農選手:例えばトナミ運輸では10分やっていたところを、7分とかにして「集中してやってね」とか、ちょっとずつマインドをあげるというか、ギャップというのはすごかったですね。 大学の部活の指導を終えて、実業団チームとしての練習が始まるのは、午後7時からです。夜遅くまでの練習になります。 下農選手:トナミ運輸にいた時は、午後5時6時には終わっていたのが、今は9時とか10時ぐらいまでやることが多いので、最初はやっぱり体調を崩したり、なかなか気持ち的にもきつい部分はありました。でも、正直、慣れました。 環境の違いで苦労することはあっても、そこに適応しながら前に進んでいく下農選手。 学生を指導する中で、気持ちに変化が表れ、選手としての引き出しが増えたようです。 下農選手:部活を見ていると、外から見る機会がすごく多いので、それで自分の中でもバドミントンに対するイメージが変わってきた。負けられない中での戦いをずーっとやってきたので、スマッシュ先行というか負けられないプレーをするとなるとスマッシュを先行してしまうのかなと思ったので。今は肩の荷が下りたというか、そういった部分ではいろいろな球を打てるというのが強みかなと思います。 この新たな気づきが、成績にも表れました。 日本ランキングの上位選手だけが出場できる5月の日本ランキングサーキット大会では、男子ダブルスとミックスダブルス・2種目で準優勝! 楽しそうにプレーして勝ち上がる下農選手の姿が、関係者に大きなインパクトを残しました。 そんな下農選手の加入は、チーム全体にも、大きな刺激を与えています。 下田武史アナウンサー:下農選手のプレーを見ることで周りのダブルスの選手たちにも影響があったんじゃないですか? 長谷川進監督 ありました。とにかくミスが少なくなりました。 チームメイト 伊藤吏永選手:レシーブにしろアタックにしろ、今まで意識してこなかったところを意識するようになってもっとレベルアップというか、1個上のレベルに上がれたかな、一緒に練習して、というのはあります。 今シーズン、金沢学院クラブはここまで1勝2敗。下農選手は、ダブルスのエースとして、先日の東海興業戦も貴重な白星を挙げました。 金沢市で迎える12月8日の試合では、去年の優勝チーム・ジェイテクトと対戦します。 長谷川監督:トップダブルスとして、相手に対してインパクト、学院クラブの強さをぶつけてほしいなと思いますね。 下農選手:全然勝つチャンスは自分たちにもあると思うので、そこのまず1勝というのを自分たちがしっかり取れるように頑張りたいなと思います。