バレンタイン間近!チョコレートバイヤーみりが紹介する「ローカルチョコレートの 世界」(レビュー)
福田里香・評「目と脳で味わうチョコレート」
ヨーロッパ王室御用達の老舗から、アメリカのハイセンスチョコ、北欧やタスマニアの奥地など、有名通販会社「フェリシモ」の大人気チョコレートバイヤーみりが世界のショコラティエを巡る! 感動の極上ローカルチョコレートの数々と、情熱たっぷりで個性豊かな職人たちとのエピソードが詰まった1冊『「幸福のチョコレート」を探しにどこまでも』が刊行。本作の読みどころをお菓子研究家の福田里香さんが紹介する。 *** 「あ、わたし、このヒトがバイイングしたチョコレートを買ったことがある!」 それが『「幸福のチョコレート」を探しにどこまでも』の書評を引き受けた一番の理由だ。そう、わたしは世界中の知られざるチョコレートを紹介することに情熱を傾ける木野内美里さんの恩恵をすでに受けている人間なのであった。 数年前に喜び勇んで購入したソレは「Le Negus(ネギュス)」という、クラシックで美しい深緑と金の丸い缶入りのチョコレートキャンディで、フランスのヌヴェールという小さな街にある1902年創業の個人菓子舗が作っている。以前からすご~く食べてみたかったけど、いや、ネギュスは最低でもパリの老舗コンフェズリーに行かなくちゃ買えないと、半ば諦めていた幻のチョコレート菓子だった。 ネギュスのチョコレートキャンディは、薄いべっ甲色に色付いた透明の飴の真ん中に、とろりとしたチョコレートを閉じ込めた構成で、サクマ製菓のチャオの元ネタというか……熟練の職人が超絶技巧の手作業で仕上げたチャオの最高級版と云ったらわかりやすいだろうか。 念願叶って手に入れたネギュスを口の中で転がせば、馥郁としてチョコが溶け出し“口福”な気持ちになった。 ネギュスを輸入するなんて本当に凄い。 木野内さん、マジ天使。 そんな理由で、なんという巡り合わせだ、わたしが書かずして誰が書く……という鼻息だったが、よく考えてみたら、何年も続くこれほどの大人気企画だから、案外誰に投げたとしても、買ったことある! 貰ったことある! おいしかった! 書評書くし! となったような気がする。木野内さんがチョコレートバイヤーを務める「フェリシモ」は、神戸に本社を持つ歴史ある大手通販会社だ。大人から子供まで幅広い年齢層の女性をターゲットとし、安売り系ではなく、センスの良さを売るタイプ。